ガソリンの暫定税率の廃止法 野党が出した法案を6会派の修正で「12月31日施行」に 参議院は244対0で成立
テーマ:国会・税|出来事:2025年10月24日(所信表明演説)〜2025年11月21日(衆院財務金融委で修正)〜2025年11月28日(成立)〜2025年12月31日(施行)|最終更新:2026年10月31日
法律案の中身は、衆議院のページに載っている要綱と修正案の字です。税率は e-Gov の法令の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。参議院の票は、参議院のページの投票結果です。
要点
- この法律は、野党の議員が第218回国会に出した法案です。提出者は重徳和彦議員ら11人です。衆議院の議案のページでは、提出会派は立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、参政党、日本保守党です。元の案は、ガソリンにかかる揮発油税と地方揮発油税の「当分の間税率」を廃止し、2025年11月1日から施行するという中身でした。(資料01・02)
- 衆議院の財務金融委員会で、施行の日が2025年12月31日に変わりました。修正案は、自民・立憲・維新・国民・公明・共産の6会派が共同で出しました。委員会では修正案も法案も起立総員で可決されました。修正では、廃止の日にお店などが持っているガソリンの税の差額を控除・還付する経過措置も足しています。参議院では投票総数244・賛成244・反対0で可決し、成立しました。(資料03・04・05・06)
- 廃止された上乗せは、1リットルあたり25.1円です(このページの計算)。廃止の前は、法令の「当分の間」の税率で揮発油税48,600円・地方揮発油税5,200円(1キロリットルあたり)でした。本来の税率は24,300円と4,400円です。差は合わせて25,100円で、1リットルにすると25.1円です。(資料07・08・09)
根拠
税率の検算(1キロリットルあたり)
| 税 | 廃止前(租税特別措置法 第88条の8「当分の間」) | 本来の税率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 揮発油税 | 48,600円 | 24,300円(揮発油税法 第9条) | 24,300円 |
| 地方揮発油税 | 5,200円 | 4,400円(地方揮発油税法 第4条) | 800円 |
| 計 | 53,800円 | 28,700円 | 25,100円 |
出典:廃止前は資料07(e-Gov の租税特別措置法・2025年12月1日時点の版の第88条の8)。本来の税率は資料08・09。差と計は、このページの計算です。1キロリットルは1,000リットルなので、25,100円÷1,000=25.1円です。
照らし合わせ
- 修正案の附則第2条第7項は、還付する額を国と地方に分ける割合を「二百五十一分の八」「二百五十一分の二百四十三」と書いています(資料04)。251は25.1円、8と243は地方揮発油税の差0.8円と揮発油税の差24.3円にあたり、上の表の差と合います(このページの照らし合わせ)
- 沖縄は、沖縄復帰特別措置法にもとづく政令で、ほかの県より7円低い1リットルあたり46.8円になっていると、提出者の辰巳孝太郎議員が答えています(資料05 #302)。53.8円−7円=46.8円で、上の表の計と合います(このページの計算)
- 2026年10月25日時点の e-Gov の租税特別措置法では、第88条の8は見当たらず、第89条は「削除」です(資料10)
元の案と修正の違い(資料02・04)
| 項目 | 元の案(要綱) | 修正のあと |
|---|---|---|
| 施行の日 | 令和7年11月1日 | 令和7年12月31日 |
| 廃止の日にお店などが持っているガソリン | 政府が差額の金銭の給付などを行う | 補助金を受けた製造者・販売業者の手持ちの分について、税の差額を控除・還付する経過措置を法律に書く |
| 軽油引取税の「当分の間税率」 | (書いていない) | 国は、補助金に代えて令和8年4月1日に廃止するものとし、必要な措置を講ずる(提出者の説明・資料05 #235) |
| 代わりの財源 | (書いていない) | 法人税関係の特別措置の見直しなどを検討して令和7年末までに結論、安定財源の具体策は公布後おおむね1年を目途に結論(同) |
地方の減収の見込み(答弁の数)
- 総務大臣政務官は、令和8年度以降について、軽油引取税で約4,800億円、地方揮発油譲与税で約300億円の減収を見込むと答えました(資料05 #9)。合わせると約5,100億円です(このページの計算)。政務官は「約五千億円の減収」と述べています
- 令和7年度については、政務官は、軽油引取税の暫定税率は維持されるので減収は生じず、地方揮発油譲与税も「今年度の影響額について影響はほぼない」と答えています(資料05 #9)
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 衆議院「衆法 第218回国会 1 租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案」議案審議経過情報 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE024E.htm | 公式資料 | 2026-10-25(提出者・提出会派・付託2025年10月21日・衆院可決11月25日・参院可決11月28日・公布12月5日・法律第81号) |
| 02 | 衆議院 同法律案の要綱 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g21805001.htm | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 03 | 国会会議録 衆議院 本会議 2025年10月24日 #14(高市内閣総理大臣の所信表明演説) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905254X00220251024/14 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 04 | 衆議院 同法律案に対する修正案(第219回提出・可決) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/syuuseian/4_893A.htm | 公式資料 | 2026-10-25(附則第1条・第2条・第3条を読んだ) |
| 05 | 国会会議録 衆議院 財務金融委員会 2025年11月21日 #8・#9・#232・#234・#235・#300・#302・#307〜#314 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121904376X00220251121/235 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 参議院 本会議投票結果 第219回国会 2025年11月28日 日程第1(同法律案) https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/219/219-1128-v010.htm | 公式資料 | 2026-10-25(会派ごとの票) |
| 07 | 租税特別措置法 第88条の8(e-Gov 法令 API・2025年12月1日時点の版) https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026 | 法令 | 2026-10-25(API で asof=2025-12-01 を指定して取得) |
| 08 | 揮発油税法 第9条(e-Gov) https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000055 | 法令 | 2026-10-25 |
| 09 | 地方揮発油税法 第4条(e-Gov) https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000104 | 法令 | 2026-10-25 |
| 10 | 租税特別措置法(e-Gov 法令 API・2026年10月25日時点の版) https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026 | 法令 | 2026-10-25(第88条の8の条番号が見当たらず、第89条は「削除」) |
| 11 | 国会会議録 衆議院 本会議 2025年11月25日 #18〜#21 / 参議院 本会議 2025年11月28日 #34〜#38 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905254X00520251125/21 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121915254X00520251128/38 | 会議録 | 2026-10-25 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2025年10月24日 衆議院 本会議(所信表明演説)(資料03)
高市早苗 内閣総理大臣 #14
[中略]まず、いわゆるガソリン税の暫定税率については、各党間の議論を踏まえ、今国会での廃止法案の成立を期します。軽油引取税の暫定税率も、早期の廃止を目指します。これらの廃止に伴い必要となる国及び地方自治体の安定財源を確保しつつ、廃止までの間も、補助金を活用することで、価格引下げに対応します。
2025年11月21日 衆議院 財務金融委員会(資料05)
重徳和彦 議員(提出者・立憲民主党・無所属)趣旨説明 #232
[中略]立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、参政党、日本保守党、社会民主党の七党で共同提出をいたしました[中略]いわゆるガソリン暫定税率廃止法案につきまして、提出者を代表し、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
そもそも、ガソリンの暫定税率というのは、一九七四年、道路財源を確保するため、まさに暫定的に上乗せをされたものであります。その後、二〇〇九年には一般財源化され[中略]
田中健 議員(修正案の提出者・国民民主党・無所属クラブ)#235
[中略]第一に、施行期日を令和七年十二月三十一日とすることとしております。
第二に、揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例の廃止に伴う経過措置として、一定の揮発油の製造者等が揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例の廃止時に所持する一定の揮発油について、所定の手続に基づき、税率の差額分を控除し又は還付する経過措置を講ずることとしております。
第三に、国は[中略]軽油引取税の当分の間税率について[中略]令和八年四月一日に廃止するものとし、このために必要な措置を講ずるものとすることとしております。[中略]
片山さつき 財務大臣 #308
ただいまの法律案につきましては、複数会派共同の修正案が提出されていることに鑑み、政府といたしましては意見を申し述べることは差し控えたく存じます。
阿久津幸彦 委員長 #313・#314
起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。(拍手)[中略]
起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。(拍手)
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 第218回国会 | 野党の議員が法案を提出(衆法218回1号) | 資料01 |
| 2025年10月21日 | 第219回国会で財務金融委員会に付託 | 資料01 |
| 2025年10月24日 | 所信表明演説で、首相が「今国会での廃止法案の成立を期します」 | 資料03 |
| 2025年11月21日 | 財務金融委員会で、6会派の修正案を可決し、法案を修正議決(いずれも起立総員) | 資料05 |
| 2025年11月25日 | 衆議院の本会議で修正議決(異議なし。議案のページの会派の態度は全会一致) | 資料01・11 |
| 2025年11月28日 | 参議院の本会議で可決・成立(投票総数244・賛成244・反対0) | 資料06・11 |
| 2025年12月5日 | 公布(法律第81号) | 資料01 |
| 2025年12月31日 | 施行(揮発油税と地方揮発油税の「当分の間税率」の廃止) | 資料04 |
参議院の会派ごとの票(資料06)
- 自由民主党98・立憲民主・社民・無所属41・国民民主党・新緑風会25・公明党21・日本維新の会19・参政党15・日本共産党7・れいわ新選組6・日本保守党2・沖縄の風2・各派に属しない議員8。すべて賛成で、反対は0です
- 投票しなかった議員がいるため、会派の所属の数と賛成の数が合わない会派があります(例:自由民主党は100名のうち98)
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 元の案の中身と施行の日は衆議院の要綱(資料02)、修正の中身は修正案の本文(資料04)で読みました(2026年10月25日)
- 廃止前の税率は、e-Gov の法令 API で2025年12月1日時点の租税特別措置法を取り、第88条の8の字で確かめました。本来の税率は、揮発油税法 第9条と地方揮発油税法 第4条の字で確かめました(2026年10月25日)
- 25.1円は、このページの計算です。修正案の還付の割合(251分の8・251分の243)と、沖縄の46.8円の答弁でも照らしました
- 衆議院の委員会・本会議、参議院の本会議の結果は、会議録 API の本文と参議院の投票結果で確かめました
読むときの注意
- 第218回国会への提出の日について、委員会の討論で、高井崇志議員(れいわ新選組)は「八月一日に提出した法案」と述べています(資料05 #310)
