中学校の35人学級 1学級の生徒の数の標準を40人から35人に 2028年3月末までは学年ごとに政令で決める
テーマ:国会・教育|出来事:2026年2月27日(法律案の提出)〜2026年3月13日(衆議院で可決)〜2026年3月31日(参議院で可決・成立・公布)〜2026年4月1日(施行)|最終更新:2026年10月31日
法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。
要点
- 公立の中学校の1学級の生徒の数の標準を「四十人」から「三十五人」に改めました。義務教育学校の後期課程と中等教育学校の前期課程も同じです。文部科学省の局長は、中学校の標準を下げるのは「約四十年ぶり」と答えています。(資料01・資料05 #23)
- 2028年3月31日までは、全部の学年がすぐ35人になるわけではありません。その間は、段階的に35人とすることを旨として、毎年度、政令で定める学年と、大臣が定める特別の事情がある中学校は40人とする、と附則に書いています。(資料01)
- 養護教諭などを2人置く学校の基準を、児童・生徒の数で50人下げました。小学校は851人以上から801人以上に、中学校は801人以上から751人以上にしました。局長は、新しく対象になる学校を合計310校と試算しています。共同学校事務室を2つ以上置く市町村の数に応じて、事務職員の定数を新しく算定する規定も入りました。(資料01・資料05 #41・#171・#174)
- 衆議院は2026年3月13日、参議院は3月31日に可決し、同じ日に法律第7号として公布されました。4月1日に施行されています。衆議院の議案のページでは反対会派の欄は空です。参議院は押しボタンの投票で賛成239・反対5でした。(資料02・03・資料07 #24)
根拠
法律の中身(法律案の本文)
| 条(改正後の義務標準法など) | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 第3条第2項 | 中学校(義務教育学校の後期課程・中等教育学校の前期課程を含む)の同じ学年の生徒で編制する学級の標準を「四十人」から「三十五人」に改める | 資料01 |
| 第8条第2号 | 養護教諭などを複数置く基準の数を「八百五十一人」から「八百一人」に、「八百一人」から「七百五十一人」に改める | 資料01 |
| 第9条第5号(新設) | 小・中学校などに置く共同学校事務室を2つ以上置く市町村の数に1を掛けた数を、事務職員の定数の算定に加える | 資料01 |
| 第14条第2号(新設) | 特別支援学校に置く共同学校事務室を2つ以上置く市町村の数に1を掛けた数を、特別支援学校の事務職員の定数の算定に加える(第9条第5号の共同学校事務室を1つ置く市町村は1つ以上) | 資料01 |
| 附則第1条 | 2026年4月1日から施行 | 資料01 |
| 附則第2条第1項 | 2028年3月31日まで、中学校の標準は「三十五人(生徒の数の推移等を考慮し、段階的に三十五人とすることを旨として、毎年度、政令で定める学年及び文部科学大臣が定める特別の事情がある中学校にあつては、四十人)」とする | 資料01 |
| 附則第2条第3項 | 2028年3月31日まで、教職員定数の標準は、児童生徒の数と教職員の総数の推移などを考えて、改正後の算定の数に「漸次近づけることを旨として」毎年度、政令で定める | 資料01 |
法律案の理由の欄は、「公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化を図るため」です(資料01)。
学級編制の標準の移り変わり(局長の答弁)
| 時期 | 標準 | 出典 |
|---|---|---|
| 1958年(昭和33年)の法律の制定のとき | 小学校・中学校とも50人 | 資料05 #19 |
| 1964年〜1968年(第2次定数改善計画) | 45人 | 資料05 #19 |
| 1980年〜1991年(第5次定数改善計画) | 40人。中学校の40人学級が始まったのは1986年(昭和61年) | 資料05 #19・#23 |
| 2011年度(平成23年度) | 小学校1年生を35人に | 資料05 #19 |
| 2021年度〜2025年度(令和3年度〜7年度) | 小学校2年生から順に35人に。2025年度に小学校の全学年が35人 | 資料05 #19 |
| 2026年4月1日 | 中学校の標準を35人に(2028年3月31日までは附則の経過措置) | 資料01 |
1986年から2026年までは40年です(このページの引き算)。局長の「約四十年ぶり」と合います。
数字の検算(委員会の答弁)
| 数字 | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 2万4,605人 | 2026年度〜2028年度の3年間の新しい定数改善計画の改善の総数 | 資料05 #66・#67 |
| 約600億円 | その総数に要る予算(国庫負担3分の1) | 資料05 #67 |
| 7,596人 | 2026年度予算案で計上した改善の数(基礎定数と加配定数の合計)。中学校の35人学級を学年進行で進めるのに要る5,580人を含む | 資料05 #67 |
| 310校 | 養護教諭の複数配置の基準を50人下げたとき、新しく対象になる学校(小学校206校・中学校104校) | 資料05 #174 |
| 777校 | 概算要求のときの100人下げだった場合の試算(小学校487校・中学校290校) | 資料05 #174 |
このページの計算
- 206校+104校=310校。487校+290校=777校。どちらも局長の合計と一致します
- 851人−801人=50人、801人−751人=50人
比べ方の注意
- 35人は「標準」です。実際の学級の人数は、この標準をもとに都道府県などが決めます。局長は、2025年度には国の加配や自治体の独自の財源で、中学1年生で35人学級を何らかの形で行っているのが67の都道府県・政令指定都市のうち60、中学2・3年生では43と答えています(資料05 #126)
- 約600億円は3年間の改善の総数に要る額として局長が答えた数です
会派の賛否(記録にある粒度のまま)
衆議院 本会議 2026年3月13日(起立による採決・起立多数)(資料02・資料06 #99・#100)
| 賛成会派(記録の字) | 反対会派(記録の字) |
|---|---|
| 自由民主党・無所属の会; 中道改革連合・無所属; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; 参政党; チームみらい; 日本共産党 | (空欄) |
文部科学委員会の採決は「起立総員」で、委員長は本会議で「全会一致」と報告しました(資料09 #14・資料06 #97)。本会議の結果は「起立多数」です(資料06 #100)。
参議院 本会議 2026年3月31日(押しボタンの投票。投票総数244・賛成239・反対5)(資料03)
| 会派(人数) | 賛成 | 反対 |
|---|---|---|
| 自由民主党・無所属の会(101) | 100 | 0 |
| 立憲民主・無所属(40) | 40 | 0 |
| 国民民主党・新緑風会(25) | 25 | 0 |
| 公明党(21) | 21 | 0 |
| 日本維新の会(19) | 19 | 0 |
| 参政党(15) | 15 | 0 |
| 日本共産党(7) | 7 | 0 |
| れいわ新選組(5) | 0 | 4 |
| 日本保守党(2) | 1 | 1 |
| 沖縄の風(2) | 2 | 0 |
| チームみらい・無所属の会(2) | 2 | 0 |
| 社会民主党(2) | 2 | 0 |
| 各派に属しない議員(6) | 5 | 0 |
賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計239・反対の合計5は、議長の報告(資料07 #24)と一致します(このページの足し算)。
参議院の文教科学委員会では、日本共産党の吉良よし子議員が修正案を出し、否決されました。原案は全会一致で可決です(資料08 #183〜#186)。
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 衆議院「閣法 第221回国会 9 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」提出時法律案 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109009.htm | 公式資料 | 2026-10-25(本則・附則・理由を読んだ) |
| 02 | 衆議院 同法律案の議案審議経過情報 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE152E.htm | 公式資料 | 2026-10-25(受理 2月27日・付託 3月10日 文部科学委員会・審査終了 3月13日 可決・本会議 3月13日 可決・参議院 3月31日 可決・公布 3月31日 法律第7号) |
| 03 | 参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221009.htm https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0331-v007.htm | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 04 | 国会会議録 衆議院 文部科学委員会 2026年3月10日 #219(松本文部科学大臣の趣旨説明) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105124X00420260310/219 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録 衆議院 文部科学委員会 2026年3月11日 #18〜#23・#40・#41・#66・#67・#123〜#126・#171〜#174 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105124X00520260311/23 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年3月13日 #97(文部科学委員長の報告)・#99・#100(採決) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X00620260313/97 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 07 | 国会会議録 参議院 本会議 2026年3月31日 #18(文教科学委員長の報告)・#22〜#24(投票の結果) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X00720260331/24 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 08 | 国会会議録 参議院 文教科学委員会 2026年3月31日 #183〜#186(修正案と採決) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115104X00320260331/183 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 09 | 国会会議録 衆議院 文部科学委員会 2026年3月13日 #13・#14(採決) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105124X00620260313/14 | 会議録 | 2026-10-25 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2026年3月10日 衆議院 文部科学委員会(趣旨説明)(資料04)
松本洋平 文部科学大臣 #219
令和七年度に小学校三十五人学級が完成することを踏まえ、中学校においても切れ目なく同じ学級規模で学んでいくことが重要です。また、教師の厳しい勤務実態や、不登校等の生徒指導上の課題の深刻化など学校を取り巻く環境は大きく変化しており、子供たちにきめ細かな対応を行うことが必要です。[中略]
2026年3月11日 衆議院 文部科学委員会(資料05)
山本大地 議員(自由民主党・無所属の会)#22
[中略]この中学校の学級編制の標準の引下げということになりますと、何年ぶりということになりますでしょうか。
望月禎 文部科学省初等中等教育局長 #23
第五次定数改善計画が昭和五十五年から平成三年でございました。その中で中学校の四十人学級が始まったのが昭和六十一年、そこから考えますと、約四十年ぶりというわけでございます。
山崎正恭 議員(中道改革連合・無所属)#123
[中略]必要に応じて今後学級規模の更なる縮小を検討していく考えがあるのか、将来的にはそういった様々な観点から何人学級が理想と考えるのか、文科省の認識や長期ビジョンについてお伺いします。
松本洋平 文部科学大臣 #124
[中略]理想となる学級編制の標準について一概にお答えするのは困難でありますが、今後の中長期的な学校における望ましい指導、運営体制の整備の在り方につきましては、令和八年度政府予算案に盛り込まれた新たな定数改善計画の進捗、働き方改革の取組状況、また、現在、中央教育審議会で議論が進められております教員養成の在り方や次期学習指導要領に関する議論の状況などを踏まえ、幅広く検討を行ってまいります。
西岡義高 議員(国民民主党・無所属クラブ)#173
[中略]それぞれ、五十人引下げの場合と百人引下げの場合、複数配置される学校は何校増える試算だったのかだけ、教えていただければと思います。
望月禎 文部科学省初等中等教育局長 #174
養護教諭の複数配置基準を五十人引き下げた場合には、新たに複数配置基準の対象となる学校は、小学校で二百六校、中学校で百四校の、合計三百十校と試算してございます。一方、百人引き下げた場合には、小学校で四百八十七校、中学校で二百九十校の、合計七百七十七校と試算してございます。
2026年3月31日 参議院 文教科学委員会(修正案)(資料08)
吉良よし子 議員(日本共産党)#183
[中略]本法案で新設される事務職員の定数は、市町村に複数の共同学校事務室を統括する事務職員の定数化であり、学校現場に配置される事務職員が増員されるわけではありません。[中略]そこで、共同学校事務室を統括する事務職員定数の新設を削除し、複数配置の基準を引き下げる修正案を提出するものです。
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年2月27日 | 内閣が衆議院に提出(受理) | 資料02 |
| 2026年3月10日 | 衆議院 文部科学委員会に付託。同じ日に大臣の趣旨説明 | 資料02・04 |
| 2026年3月11日 | 衆議院 文部科学委員会で質疑 | 資料05 |
| 2026年3月13日 | 衆議院 文部科学委員会で可決(起立総員・附帯決議あり)。同じ日に本会議で可決(起立多数) | 資料09・06 |
| 2026年3月26日 | 参議院 文教科学委員会に付託 | 資料03 |
| 2026年3月31日 | 参議院 文教科学委員会で、共産党の修正案を否決、原案を全会一致で可決(附帯決議あり)。同じ日に本会議で可決(賛成239・反対5)。成立。同じ日に公布(法律第7号) | 資料02・03・07・08 |
| 2026年4月1日 | 施行 | 資料01 |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 法律の中身(中学校の標準35人・養護教諭の複数配置の基準・共同学校事務室の事務職員の算定・施行日・2028年3月31日までの経過措置)は、衆議院のページの法律案の本文(資料01)を読んで確かめました(2026年10月25日)
- 提出・付託・議決・公布の日と、衆議院の会派の欄は、衆議院の議案のページ(資料02)で確かめました
- 参議院の会派ごとの票は、参議院の投票結果のページ(資料03)で確かめ、議長の報告の数(資料07 #24)と合うことを足し算で確かめました
- 国会の字は、すべて国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました
読むときの注意
- 条の番号は、法律案の本文の番号です
- 経過措置の間の学年の扱いについて、局長は「今の六年生が中学校においても切れ目なく同じ学級規模で学ぶことができるように」と説明しています(資料05 #21)
- 定数改善の人数・約600億円・試算の学校数は、委員会の答弁の数です
- 衆議院の委員会は「起立総員」、本会議は「起立多数」でした
