予防接種法の改正 単クローン抗体を有効成分とし、ワクチンと同程度に効果が長く続く薬も予防接種に使えるように 政府はRSウイルスの抗体製剤を例に説明

テーマ:国会・医療|出来事:2026年6月9日(法律案の提出)〜2026年6月30日(衆議院で可決)〜2026年7月24日(参議院で可決・成立)〜2026年7月31日(公布)|最終更新:2026年10月31日

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。

要点

  1. 予防接種法の予防接種に使う物を、「ワクチン」から「特定医薬品」に改めました。特定医薬品は、ワクチンと、「単クローン抗体を有効成分として含有し、かつ、ワクチンと同程度にその効果が長期間にわたる医薬品」の2つです。(資料01)
  2. 改正の前の法律は、予防接種を「ワクチンを、人体に注射し、又は接種すること」としていました。厚生労働省の部長は、ワクチンと抗体製剤は別の物として扱われ、いまの法律では抗体製剤を使うのは難しいと答えました。RSウイルス感染症の定期接種は、2026年4月から妊婦が受ける母子免疫ワクチンだけが選べる、とも答えています。(資料05 #15)
  3. どの薬を、どの病気の定期接種に使うかは、この法律では決めていません。部長は、個別の製剤の定期接種化は審議会で検討すると答えています。衆参の附帯決議は、施行後すぐにRSウイルス感染症の抗体製剤の定期接種化の議論をすることを求めました。(資料07 #67・資料05 #122・資料07 #129)
  4. 衆議院は2026年6月30日に「起立総員」で可決しました。参議院は7月24日に押しボタンの投票で賛成224・反対20でした。衆参の委員会では、参政党が反対の討論をしました。参議院では、れいわ新選組も反対の討論をしています。(資料06 #8・資料03・資料08 #23)

根拠

法律の中身(法律案の本文)

条中身出典
第2条第1項予防接種の定義の「ワクチン」を「特定医薬品」に改める。特定医薬品は、①ワクチン、②単クローン抗体を有効成分として含有し、かつ、ワクチンと同程度にその効果が長期間にわたる医薬品資料01
第3条・第4条・第13条・第23条・第47条・第53条「ワクチン」「ワクチン製造販売業者」の字を「特定医薬品」「特定医薬品製造販売業者」に改める資料01
附則第1項公布の日から6か月を超えない範囲で政令で定める日から施行資料01
附則第2項新型インフルエンザ等対策特別措置法 第31条の2第1項の「ワクチン」を、予防接種法の「特定医薬品」に改める資料01

法律案の理由の欄の書き出しは、「近年における医薬品技術の高度化を踏まえ」です。そのうえで、単クローン抗体の薬を予防接種に用いることができるようにする、としています(資料01)。

どれくらいの期間を「長期間」とみるか(部長の答弁)

比べ方の注意

会派の賛否(記録にある粒度のまま)

衆議院 本会議 2026年6月30日(起立による採決・起立総員)(資料02・資料06 #7・#8)

会派態度(記録の字)賛成会派(記録の字)反対会派(記録の字)
全会一致自由民主党・無所属の会; 日本維新の会(空欄)

議案のページの字のままです。賛成会派の欄は2つの会派だけですが、会派態度の欄は「全会一致」です。衆議院の厚生労働委員会の採決は「起立多数」で、参政党の牧野議員が反対の討論をしました(資料05 #117・#120)。本会議の議長の宣告は「起立総員」です(資料06 #8)。

参議院 本会議 2026年7月24日(押しボタンの投票。投票総数244・賛成224・反対20)(資料03)

会派(人数)賛成反対
自由民主党・無所属の会(101)990
立憲民主・無所属(40)400
国民民主党・新緑風会(25)250
公明党(21)210
日本維新の会(19)190
参政党(15)015
日本共産党(7)70
れいわ新選組(5)05
日本保守党(2)20
沖縄の風(2)20
チームみらい・無所属の会(2)20
社会民主党(2)20
各派に属しない議員(6)50

賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計224・反対の合計20は、議長の報告(資料08 #23)と一致します(このページの足し算)。

資料

番号資料種類確かめた日
01衆議院「閣法 第221回国会 63 予防接種法の一部を改正する法律案」提出時法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109063.htm
公式資料2026-10-25(本則・附則・理由を読んだ)
02衆議院 同法律案の議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE28F2.htm
公式資料2026-10-25(受理 6月9日・付託 6月23日 厚生労働委員会・審査終了 6月26日 可決・本会議 6月30日 可決・会派態度「全会一致」・参議院 7月24日 可決・公布 7月31日 法律第76号)
03参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221063.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0724-v005.htm
公式資料2026-10-25
04国会会議録 衆議院 厚生労働委員会 2026年6月24日 #2(上野厚生労働大臣の趣旨説明)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104260X01720260624/2
会議録2026-10-25
05国会会議録 衆議院 厚生労働委員会 2026年6月26日 #14・#15(沼崎満子議員と感染症対策部長)・#117(牧野俊一議員の反対の討論)・#119〜#124(採決と附帯決議)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104260X01820260626/15
会議録2026-10-25
06国会会議録 衆議院 本会議 2026年6月30日 #6(厚生労働委員長の報告)・#7・#8(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X02920260630/8
会議録2026-10-25
07国会会議録 参議院 厚生労働委員会 2026年7月23日 #66・#67(川村雄大議員と感染症対策部長)・#126(天畠大輔議員の反対の討論)・#127〜#131(採決と附帯決議)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122114260X02020260723/67
会議録2026-10-25
08国会会議録 参議院 本会議 2026年7月24日 #20(厚生労働委員長の報告)・#23(投票の結果)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X03120260724/23
会議録2026-10-25

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2026年6月24日 衆議院 厚生労働委員会(趣旨説明)(資料04)

上野賢一郎 厚生労働大臣 #2

[中略]近年における医薬品技術の高度化により、単クローン抗体を有効成分として含有し、かつ、ワクチンと同程度にその効果が長期間にわたる医薬品が出現しており、これについても予防接種に用いることができるようにするため、この法律案を提出いたしました。[中略]

2026年6月26日 衆議院 厚生労働委員会(資料05)

鷲見学 厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長 #15

本年四月より定期接種の対象疾病にRSウイルス感染症が加わりましたが、海外の先進国では妊婦が接種する母子免疫ワクチンと新生児が接種する抗体製剤の選択が可能な国が多い一方で、我が国では、国内で既に薬事承認を得ている抗体製剤も存在するものの、定期接種においては現行は母子免疫ワクチンのみ選択可能であり、早期に複数の選択肢を用意することが求められていると認識しております。
一方で、予防接種法においては、予防接種とは「ワクチンを、人体に注射し、又は接種すること」とされているところ、ワクチンと抗体製剤は学術的にも別のものとして扱われており、現行法の予防接種では抗体製剤を用いることは難しいと考えております。[中略]

牧野俊一 議員(参政党)反対の討論 #117

[中略]大前提として、私たちは、RSウイルスで重症化しやすい乳幼児を守る医療上の選択肢そのものを否定するつもりはありません。[中略]
しかし、本改正案は、ワクチンではない高額な抗体製剤を予防接種法上の制度に組み込む道を開くものです。[中略]

2026年7月23日 参議院 厚生労働委員会(資料07)

鷲見学 厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長 #67

[中略]抗体製剤について、どの程度の期間をワクチンと同程度に、ワクチンと同程度という形で長期間とみなすのかという点につきましては、ワクチンと同様に、対象とする疾病ごとに期待される有効期間が異なることから、一律の基準を設けることは困難であるものの、個々の疾病の特性に応じて審議会において個別に検討がなされるものと承知しているところでございます。

天畠大輔 議員(れいわ新選組)反対の討論 #126

[中略]我が党は、経済的格差による医療アクセスの違いを解消し、子育て世帯や小児医療現場の負担を軽減しようとする政策目的には深く共感します。[中略]
しかし、その制度設計や法制化のプロセスが余りに拙速と言うほかありません。[中略]

参議院の委員会では、参政党の岩本麻奈議員も反対の討論をしました(資料08 #20)。

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2026年6月9日内閣が衆議院に提出(受理)資料02
2026年6月23日衆議院 厚生労働委員会に付託資料02
2026年6月24日衆議院 厚生労働委員会で大臣の趣旨説明資料04
2026年6月26日衆議院 厚生労働委員会で質疑・討論・採決。可決(起立多数・附帯決議あり)資料05
2026年6月30日衆議院 本会議で可決(起立総員)資料06
2026年7月22日参議院 厚生労働委員会に付託資料03
2026年7月23日参議院 厚生労働委員会で可決(多数・附帯決議あり)資料07
2026年7月24日参議院 本会議で可決(賛成224・反対20)。成立資料03・08
2026年7月31日公布(法律第76号)資料02
この後公布から6か月を超えない範囲の政令で定める日に施行資料01

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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