健康保険法等の改正 市販薬と代わりが特に利く薬は費用の一部を保険の外に(一部保険外療養) 出産の新たな給付 国保の子どもの均等割の軽減を18歳まで 2026年5月に成立

テーマ:国会・医療|出来事:2026年3月13日(法律案の提出)〜2026年4月28日(衆議院で可決)〜2026年5月29日(参議院で可決・成立)〜2026年6月5日(公布)|最終更新:2026年10月31日

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文と、厚生労働大臣の趣旨説明(国会会議録)の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。

要点

  1. 市販の薬(要指導医薬品・一般用医薬品)と代わりが特に利く薬を使った療養は、費用の一部を保険給付の対象から外せるようになります。新しい制度の名前は「一部保険外療養」で、何が当たるかは厚生労働大臣が定めます。厚生労働省の保険局長は委員会で、いわゆるOTC類似薬について、薬剤費の「四分の一について別途の負担をお願いする」と答えました。(資料01・資料08 #284)
  2. 出産の保険給付の仕組みを見直し、大臣が指定する施設での分娩に新しい給付を作ります。国民健康保険の子どもの均等割保険料(加入者1人ごとにかかる保険料)などの5割軽減は、未就学児から18歳の年度末までに広げます。後期高齢者医療では、上場株式の配当などの金融所得を保険料などに反映できるよう、金融機関に情報の提供を義務づけます。施行は、一部を除き2027年4月1日です。(資料04 #3)
  3. 衆議院は2026年4月28日に起立多数で、参議院は5月29日に押しボタンの投票で賛成166・反対79で可決しました。6月5日に法律第31号として公布されました。参議院では、立憲民主・無所属と公明党が、高額療養費や一部保険外療養の要件を足す修正案を出し、否決されました。(資料02・03・資料05 #29・#41)
  4. 一部保険外療養の対象が薬だけかが問われました。首相は、条文の「その他の療養」も含めて「薬剤のみを対象したもの」と解釈しているとして、「条文を見直す考えはございません」と答えました。(資料07 #116〜#119)

根拠

法律の中身(大臣の趣旨説明の7つの柱)

柱中身出典
一部保険外療養要指導医薬品・一般用医薬品と代替性が特に高い薬剤を用いた療養などは、費用の一部を保険給付の対象外にする。対象は厚生労働大臣が定める(健康保険法 第63条第2項第6号の新しい字)資料01・資料04 #3
後期高齢者の金融所得上場株式等の配当などを保険料の算定や窓口負担割合の判定に反映できるよう、金融機関等がオンラインで後期高齢者医療広域連合に情報を出す義務資料04 #3
出産・妊娠大臣が指定する施設での分娩に新しい給付を作り、一定の現金給付も行う。指定施設に費用などの報告を義務づける。妊婦健診に国が望ましい基準と標準額を定める資料04 #3
国保の子どもの軽減均等割保険料などの5割軽減を、未就学児から、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの被保険者に広げる資料04 #3
高額療養費支給要件などを定めるときに、特に長期療養者の家計への影響を考えることを法律に明記資料04 #3
医療機関の支援業務効率化・勤務環境改善に取り組む医療機関を支える事業を基金に設け、計画を作る病院を大臣が認定する資料04 #3
協会けんぽの国庫補助2026年度から2028年度の特例として、国庫補助の特例減額の控除額を引き上げる資料04 #3

施行の日は、一部の規定を除き2027年4月1日です(資料04 #3)。

比べ方の注意

会派の賛否(記録にある粒度のまま)

衆議院 本会議 2026年4月28日(起立による採決。起立多数)(資料02・資料06 #19・#20)

欄記録の字
会派態度多数
賛成会派自由民主党・無所属の会; 中道改革連合・無所属; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; 参政党; チームみらい
反対会派日本共産党

参議院 本会議 2026年5月29日(押しボタンの投票。投票総数245・賛成166・反対79)(資料03)

会派(人数)賛成反対
自由民主党・無所属の会(101)1000
立憲民主・無所属(40)040
国民民主党・新緑風会(25)250
公明党(21)021
日本維新の会(19)190
参政党(15)150
日本共産党(7)07
れいわ新選組(5)05
日本保守党(2)20
沖縄の風(2)02
チームみらい・無所属の会(2)20
社会民主党(2)02
各派に属しない議員(6)32

賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計166・反対の合計79は、議長の報告(資料05 #41)と一致します(このページの足し算)。

資料

番号資料種類確かめた日
01衆議院「閣法 第221回国会 25 健康保険法等の一部を改正する法律案」提出時法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109025.htm
公式資料2026-10-25(一部保険外療養の定義の字を読んだ。全文は長いので、ほかの柱は資料04 の字で書いた)
02衆議院 同法律案の議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE1FDE.htm
公式資料2026-10-25(受理 3月13日・付託 4月9日 厚生労働委員会・審査終了 4月24日 可決・本会議 4月28日 可決・参議院 5月29日 可決・公布 6月5日 法律第31号)
03参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221025.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0529-v005.htm
公式資料2026-10-25(付託 5月13日 厚生労働委員会・委員会の議決 5月28日・会派ごとの票の数)
04国会会議録 参議院 本会議 2026年5月13日 #3(上野厚生労働大臣の趣旨説明)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X01220260513/3
会議録2026-10-25
05国会会議録 参議院 本会議 2026年5月29日 #29(厚生労働委員長の報告)・#41(投票の結果)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X01720260529/29
会議録2026-10-25
06国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月28日 #11(厚生労働委員長の報告)・#13(討論)・#19・#20(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01620260428/11
会議録2026-10-25
07国会会議録 参議院 厚生労働委員会 2026年5月28日 #116〜#119(白川容子議員と高市内閣総理大臣)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122114260X00920260528/117
会議録2026-10-25
08国会会議録 参議院 厚生労働委員会 2026年5月14日 #283・#284(白川容子議員と厚生労働省 保険局長)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122114260X00520260514/284
会議録2026-10-25

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2026年5月14日 参議院 厚生労働委員会(資料08)

白川容子 議員(日本共産党)#283

現行のこの二つの前提ですね、二つのこの分類、これからしますと、今回のこの一部保険外ということは、保険適用していたものを保険外とするということでよろしいんですかね。

間隆一郎 厚生労働省保険局長 #284

今回、OTC類似薬の関係は、これまで薬剤費を全額保険適用としていたものについて、その四分の一について別途の負担をお願いするという意味では委員の御指摘のとおりでございます。

2026年5月28日 参議院 厚生労働委員会(首相が出席)(資料07)

白川容子 議員(日本共産党)#116

[中略]これまでの私の委員会での質問に対して、六十三条二項六号に規定されているその他の療養の対象は薬剤だけではなく、診療、診察など、療養全てが含まれると厚労省はお認めになりました。条文上は、薬剤に限らず保険外しができる仕組みとなっています。
薬剤のみが対象であるという解釈を示しましたけれども、薬剤以外も保険から外せる条文を規定していることは、立法事実から逸脱しているのではないですか。

高市早苗 内閣総理大臣 #117

[中略]一部保険外療養の規定ぶりにつきましては、議論の経緯、その状況も含めた立法事実、その他の療養の前段に代替性が特に高い薬剤を用いた療養と記載されていること、附則の検討規定、これらを踏まえますと、一部保険外療養の規定の趣旨としては、薬剤のみを対象としたものと解釈しております。立法事実から逸脱しているとの御指摘は当たらないものでございます。

白川容子 議員 #118

[中略]薬剤のみが対象だという解釈を示したのですから、一部保険外療養の対象として、薬剤以外の療養は含むことができないように条文上明確に規定するべきではありませんか。

高市早苗 内閣総理大臣 #119

これは繰り返しになってしまうかと存じますが、一部保険外療養の規定ぶりについては、議論の経緯、その状況も含めた立法事実、その他の療養の前段に代替性が特に高い薬剤を用いた療養と記載されていること、そして附則の検討規定[中略]これらを踏まえれば、一部保険外療養の規定の趣旨としては、薬剤のみを対象したものということでございます。ですから、条文を見直す考えはございません。[中略]

2026年4月28日 衆議院 本会議(討論)(資料06)

浜地雅一 議員(中道改革連合・無所属)賛成の討論 #13

[中略]もう一つの懸念は、OTC類似薬の一部保険外診療です。医療用を処方される患者とOTCで対応している方の公平を図るため、保険収載薬価の四分の一の特別の料金を求める趣旨は理解しますが、この特別の料金を免除される要配慮者の範囲が不明確なことでした。[中略]

2026年5月29日 参議院 本会議(資料05)

小川克巳 厚生労働委員長(自由民主党・無所属の会)委員長の報告 #29

[中略]本法律案に対しては、立憲民主・無所属及び公明党を代表して川村雄大委員より、高額療養費の支給要件、支給額等を定めるに当たっての考慮事項等の追加、一部保険外療養を定めるに当たっての要件の追加等を内容とする修正案が提出され、原案及び修正案に対する質疑を行いました。[中略]

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2026年3月13日内閣が衆議院に提出(受理)資料02
2026年4月9日衆議院 本会議で趣旨説明。厚生労働委員会に付託資料02・資料06 #11
2026年4月24日衆議院 厚生労働委員会で首相に質疑のあと、可決(附帯決議あり)資料02・資料06 #11
2026年4月28日衆議院 本会議で可決(起立多数)資料06
2026年5月13日参議院 本会議で趣旨説明。厚生労働委員会に付託資料03・04
2026年5月28日参議院 厚生労働委員会で首相に質疑。立憲・公明の修正案を否決、原案を可決(附帯決議あり)資料03・05・07
2026年5月29日参議院 本会議で可決(賛成166・反対79)。成立資料03・05
2026年6月5日公布(法律第31号)資料02
2027年4月1日一部の規定を除き施行資料04

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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