2018年 自衛官が小西洋之議員に言った言葉 防衛省は「ばか、気持ち悪い」などの暴言を確認して訓戒 「国民の敵」は発言したか否かを「確認することができなかった」
テーマ:国会・防衛|出来事:2018年4月16日(事案)〜2018年5月15日(参院外防委の説明)|最終更新:2026年10月31日
国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。自衛官の供述と、小西議員の発信との比べは、防衛省が2018年5月8日に公表した最終報告の別紙・参考資料(PDF)の字です。このページで使った防衛省の資料と会議録では、自衛官は名前で呼ばれていないので、このページでも名前を書きません。
要点
- 2018年4月17日、小西洋之議員は参議院外交防衛委員会で、前の晩に国会の前の公道で、現職の自衛官から「おまえは国民の敵だなどと繰り返し罵声を受けました」と報告し、防衛省に調査を求めました。小野寺防衛大臣は「事実関係を確認した上で適正に対応させていただきたい」と答えました。(資料01)
- 防衛省の最終報告(5月8日)は、統合幕僚監部の3等空佐が「ばか、気持ち悪い、国益を損なう、国民の命を守ることと逆行など」の暴言を言ったことを確認し、訓戒の処分にしました。この「」の中は、人事教育局長が国会で発言の中身をまとめて述べた言い方で、現場で一続きに言った言葉の字ではありません。理由は、自衛隊法第58条の品位を保つ義務に「明らかに違反する」ため。5月中旬に統合幕僚監部から異動させる、とも説明しています。国会では、本多平直議員が訓戒を「懲戒に当たらない処分」と呼んで、軽すぎるのではと質問しました。(資料02・03)
- 「国民の敵」という言葉については、防衛省は、自衛官が「発言したか否かについては確認することができなかった」と答弁しました。小西議員は何度も言われたとし、その晩の電話を受けた人事教育局長は「国民の敵」とメモに残しています。一方、自衛官は50時間以上の事情聴取で「当初から一貫してその言葉を発言していない」としました。防衛省の比べの表(資料05)では、「国のために働け」という言葉は、自衛官の供述の側にも、小西議員の発信の側にも載っています。(資料02・03・04・05)
根拠
防衛省が確認したこと/確認できなかったこと
| 言葉・事柄 | 自衛官の供述 | 小西議員の主張 | 防衛省の結論 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 「国のために働け」 | 「思わず「国のために働け」と聞こえるように、大きい声で言ってしまいました」 | 防衛省の比べの表(資料05)に載った小西議員の発信(IWJ 等)の側にもある | ― (双方の字にある) | 資料04・05 |
| 「馬鹿」「気持ち悪い」「国益を損なう」「国民の命を守ることと逆行」 | 「「国益を損なうようなことをしている」「国民の命を守ることとは逆行している」「こんな活動しかできないなんて馬鹿」と言ってしまいました」(抜粋。「気持ち悪い」はこの字には入っていません。局長の説明 資料03 #65 にある) | ― | 確認できた | 資料03 #65・資料04 |
| 「国民の敵」 | 「一貫してその言葉は発言していない」(局長の説明) | 「おまえは国民の敵だなどと繰り返し罵声を受けました」 | 「確認することができなかった」 | 資料01 #46・資料02 #101・資料03 #65 |
| 処分 | ― | 「訓戒という軽い処分になってしまった」(5月15日) | 訓戒。5月中旬に異動 | 資料03 #65・#98 |
「確認できなかった」の中身(資料02 #101 武田人事教育局長)
- 事務次官は、小西議員からの電話の言葉を「おまえは敵だ」と記憶し、人事教育局長は「国民の敵」とメモに残した
- ただし、これは「小西議員のお話として受けたもの」で、「自衛官が、国民の敵と発言したことを裏づける、これをもって裏づけるということにはならない」
- 自衛官への事情聴取は50時間以上。小西議員の話と自衛官の供述が一致しなかったので、「国民の敵という言葉を発言したか否かについては確認することができなかった」
処分の重さについての、国会のやりとり(資料02)
- 本多平直議員(立憲民主党・市民クラブ)#34:「訓戒という、懲戒に当たらない処分」は軽すぎるのでは、と質問
- 小野寺防衛大臣 #35:勤務時間外のジョギング中に「偶然に小西議員を見かけ」、計画的ではなく、「自衛隊法等で規定された政治的な目的も持っていないことを確認しております」。「この訓戒の処分ということは決して軽いものとは言えず、適正に行われたものと考えております」
- 照屋寛徳議員(社会民主党・市民連合)#142:局長のメモや小西議員の言い分に照らし、「国民の敵だと発言した事実は十分認定できる」のでは、と質問。#144:問題の本質は「言った言わないではありません」「文民統制への信頼を大きく揺るがしたこと」
それぞれの言い分
- 小西議員(2018年4月17日):最初はその場で撤回を受け入れたが、「やはりその所属と今の自衛隊、そして防衛省が置かれている状況を踏まえたときに」国会で取り上げた、と説明しました。「武士の情けで彼の謝罪、撤回を受け入れた」とも述べています(資料01 #46)
- 小西議員(2018年5月15日):「国民の代表である国会議員に敵という言葉を使ったということは認めたくないんでしょう。まあそういうことを否定する結果として訓戒という軽い処分になってしまった、私はそういう事件でないかというふうに見ております」(資料03 #98)
- 自衛官(最終報告の供述):小西議員が平和安全法制に反対していたので「「国のために働いていない」というイメージでとらえていた」。5月4日に小西議員の国会質疑を受け取って読み、「大変失礼な発言を行ってしまい、大変恥ずかしく、誠に申し訳ないことをしたと深く反省しています」(資料04)
- 防衛省(5月15日):「小西参議院議員に対して重ねておわび申し上げる」(資料03 #65)
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 国会会議録 参議院 外交防衛委員会 第11号 2018年4月17日 #46・#48・#49 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119613950X01120180417/46 | 会議録 | 2026-10-27(会議録 API で会議を取り直し、引用・発言者・発言番号・会派を照らした) |
| 02 | 国会会議録 衆議院 安全保障委員会 第7号 2018年5月10日 #34・#35・#100・#101・#142・#144・#145 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119603815X00720180510/101 | 会議録 | 2026-10-27(同上) |
| 03 | 国会会議録 参議院 外交防衛委員会 第14号 2018年5月15日 #65(武田人事教育局長が最終報告を説明)・#98 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119613950X01420180515/65 | 会議録 | 2026-10-27(同上) |
| 04 | 防衛省「自衛官の小西参議院議員に対する暴言を含む不適切発言事案について」平成30年5月8日 別紙第1(本人の供述) https://www.mod.go.jp/j/press/report/2018/05/08b_1.pdf | 公式資料 | 2026-10-25(番組が 2026-10 に取った PDF の写しを読んだ) |
| 05 | 同 参考資料「自衛官の供述と小西議員発信(IWJ等)による比較」 https://www.mod.go.jp/j/press/report/2018/05/08b_5.pdf | 公式資料 | 2026-10-25(同上) |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2018年4月17日 参議院 外交防衛委員会(資料01)
小西洋之(民進党・新緑風会)#46
[中略]昨晩の午後九時前でございますけれども、失礼いたしました、参議院の議員会館を出てすぐのところ、国会議事堂の目の前の公道の場で、現職の自衛隊員と名のる者から、私は、おまえは国民の敵だなどと繰り返し罵声を受けました。[中略]
ただ、最終的には彼は態度を改めまして発言を撤回するということを言いましたので、その場はそれで収めたんですが、[中略]
小野寺五典 防衛大臣 #49
その事案については、昨晩、私の方にも、このような事案があったということであります。ただ、その際、小西委員の方は、やはり相手がそこで自分の非を認めればということでお話をされたと、大変温情のあるお話をされたんだと思っています。ただ、私どもとしては、もし仮にそういうことがあれば、これはやはり私ども自衛隊員の服務の問題になりますので、事実関係を確認した上で適正に対応させていただきたいと思っております。
2018年5月10日 衆議院 安全保障委員会(資料02)
武田博史 防衛省人事教育局長 #101
[中略]ただし、これはあくまでも、次官と私は小西議員のお話として受けたものでございます。自衛官が、国民の敵と発言したことを裏づける、これをもって裏づけるということにはならないものと考えております。
他方、自衛官に対する事情聴取は五十時間以上にわたり行われましたが、本人は事情聴取の当初から一貫してその言葉を発言していないといたしております。
このように、調査の結果、小西議員のお話とこの自衛官の供述とが一致しなかったことから、この自衛官が、国民の敵という言葉を発言したか否かについては確認することができなかったものでございます。
小野寺五典 防衛大臣 #145
私も、報告を受ける形で、当航空自衛隊員は、これら暴言や不適切な発言はしたけれども、国民の敵ということは一切言っていないということを一貫して話しているということ、これは報告は受けております。
ただ、私どもとしては、国民の代表である国会議員に対して自衛官が品位に欠ける発言をするということ、これは決してあってはならないということでありますので、今回、適正に処分をしたということであります。
2018年5月15日 参議院 外交防衛委員会(資料03)
武田博史 防衛省人事教育局長 #65
[中略]こうした調査の結果、本人が小西議員に対して暴言を含む不適切な発言、ばか、気持ち悪い、国益を損なう、国民の命を守ることと逆行などを行ったことは確認できました。
[中略]本人に対する処分でございますが、本人の発言は自衛隊法第五十八条、品位を保つ義務に明らかに違反するため、従来の事例を考慮し、訓戒の処分を行いました。また、本人を五月中旬に統合幕僚監部から異動させることとしております。[中略]
小西洋之(立憲民主党・民友会)#98
[中略]とにかくシビリアンコントロール上の問題と認めたくない、そして監督責任は認めたくない、また戦闘を任務とする軍事組織ですから、国民の敵、国民の代表である国会議員に敵という言葉を使ったということは認めたくないんでしょう。まあそういうことを否定する結果として訓戒という軽い処分になってしまった、私はそういう事件でないかというふうに見ております。[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。小西議員の会派の欄は、4月17日が「民進党・新緑風会」、5月15日が「立憲民主党・民友会」でした。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2018年4月16日 20時40分ごろ | 国会の周辺で、統合幕僚監部の3等空佐が小西議員に暴言 | 資料03 #65 |
| 2018年4月17日 | 参院外防委で小西議員が報告し、調査を求める。防衛大臣「適正に対応」 | 資料01 |
| 2018年5月4日 | 自衛官が、小西議員の国会質疑を調査官から受け取って読む | 資料04 |
| 2018年5月8日 | 防衛省が最終報告を公表。訓戒の処分 | 資料02・03・04 |
| 2018年5月10日 | 衆院安保委で「確認することができなかった」と答弁 | 資料02 |
| 2018年5月15日 | 参院外防委で人事教育局長が最終報告を説明。小西議員「軽い処分」 | 資料03 |
訂正の記録
なし
関連する解説動画
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本編(14分17秒)
小西洋之議員の資質 「サル」発言の謝罪と処分、「国民の敵」の防衛省の結論 国会の記録で確かめる【2026年10月】
https://youtu.be/fxvzaS50GQA
本編の章:
- 0:23 2023年3月3日 参院予算委 高市大臣「捏造文書だと私は考えております」
- 3:17 3月29日 衆院憲法審の毎週開催を「サルがやること」
- 8:01 4月5日 参院憲法審 会長「看過できない発言」と幹事の辞任
- 9:09 幹事長注意と投稿のおわび
- 11:02 2018年「国民の敵」 小西議員の質問と防衛大臣の答弁(会議録)
- 11:36 防衛省の最終報告(2018年5月8日)
- 12:12 衆院安保委 防衛省の説明と小野寺大臣
- 13:09 小西議員の受け止め(2018年5月15日)
本編の題と章の言い方は番組の見せ方です。このページでは、そのうち11:02〜13:09 の章(2018年の件)を、会議録と防衛省の資料で照らしました。
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 国会の字・発言者・発言番号・会派は、2026年10月27日に会議録 API で資料01〜03 の会議を取り直して照らしました
- 自衛官の供述と、小西議員の発信との比べは、防衛省の PDF(別紙第1・参考資料)の写しで読みました
- 「ばか、気持ち悪い…」の確認・訓戒・異動の予定は、人事教育局長が最終報告にもとづいて説明した会議録(資料03 #65)で確かめました
読むときの注意
- 防衛省の最終報告は、別紙と参考資料の PDF、局長の国会での説明で照らしました
- 異動について、5月15日の答弁は「異動させることとしております」です
- 小西議員がその晩に事務次官・人事教育局長に伝えた電話の中身は、防衛省の答弁によります
- 根拠の表の「小西議員の主張」の欄のうち、「国のために働け」の行は防衛省の比べの表に載った字、「国民の敵」の行は会議録 #46 の字です
- 「政治的な目的も持っていない」は、防衛大臣が「自衛隊法等で規定された」と限って述べたものです(資料02 #35)
