国民投票法の改正 投票立会人の要件をゆるめ、憲法改正案の広報にFM放送を追加 公選法に合わせた3項目 広告・資金・ネットの規制は附帯決議で「速やかに検討」
テーマ:国会・憲法|出来事:2026年6月5日(法律案の提出)〜2026年6月19日(衆議院で可決)〜2026年7月24日(参議院で可決・成立)〜2026年7月31日(公布)|最終更新:2026年10月31日
法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文と、提出者の趣旨説明(国会会議録)の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。
要点
- 憲法改正の国民投票の手続を定めた法律に、公職選挙法ですでに入っている3つの措置を入れました。①悪天候などで開票日の近くに現地で開票所を設けるときの開票立会人の選任、②投票立会人の選任の要件をゆるめる、③憲法改正案の広報の放送を、AM放送に加えFM放送の設備でもできるようにする、の3つです。(資料01・資料04 #2)
- 2022年に出た同じ内容の法案が、2024年の衆議院の解散で廃案になっており、その再提出です。提出者の新藤義孝議員が趣旨説明でそう述べました。提出会派は自民・維新・国民民主・参政の4つです。施行は公布から3か月を経過した日です。(資料02・資料04 #2)
- 国民投票運動の広告・資金の規制と、インターネットの適正な利用の確保は、今回の法律には入っていません。衆議院の憲法審査会は、これらを「速やかに」検討して必要な措置を講ずるとする附帯決議を、6会派の共同提案で付けました。(資料05 #7)
- 衆議院は2026年6月19日に起立多数で、参議院は7月24日に押しボタンの投票で賛成227・反対16で可決しました。7月31日に法律第73号として公布されました。(資料02・03・資料06 #5)
根拠
法律の中身(3つの項目)
| 項目 | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 開票立会人 | 開票日に近接して現地で開票所を設ける場合の、開票立会人の選任の規定を整える(2017年の衆議院選挙で、悪天候で離島から投票箱を運べなかった例を踏まえる) | 資料04 #2 |
| 投票立会人 | 選任の要件をゆるめる。第49条の「各投票区における投票人名簿に登録された」者を「国民投票の投票権を有する」者に改める | 資料01・資料04 #2 |
| FM放送 | AM放送の設備で行う憲法改正案の広報の放送を、FM放送の設備でもできるようにする | 資料04 #2 |
| 施行 | 公布の日から起算して3か月を経過した日 | 資料04 #2 |
比べ方の注意
- 3つの項目は、公職選挙法ですでに措置されている事項を国民投票法に合わせるものと、提出者は説明しています(資料04 #2)。国民投票を選挙と同じ扱いにすること自体を、日本共産党は反対の理由に挙げています(資料05 #2)
- 中道改革連合の階議員の質疑によると、2021年(令和3年)の改正法の附則第4条第2号には、放送CMやネットCMの制限・国民投票運動等の資金規制・ネット等の適正利用の確保策の3つの事項が挙がっています。階議員は、これが「宿題として残る」と問いました(資料04 #5)
会派の賛否(記録にある粒度のまま)
衆議院 本会議 2026年6月19日(起立による採決。起立多数)(資料02・資料07 #8・#9)
| 欄 | 記録の字 |
|---|---|
| 会派態度 | 多数 |
| 賛成会派 | 自由民主党・無所属の会; 中道改革連合・無所属; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; 参政党; チームみらい |
| 反対会派 | 日本共産党 |
参議院 本会議 2026年7月24日(押しボタンの投票。投票総数243・賛成227・反対16)(資料03)
| 会派(人数) | 賛成 | 反対 |
|---|---|---|
| 自由民主党・無所属の会(101) | 99 | 0 |
| 立憲民主・無所属(40) | 39 | 0 |
| 国民民主党・新緑風会(25) | 25 | 0 |
| 公明党(21) | 21 | 0 |
| 日本維新の会(19) | 19 | 0 |
| 参政党(15) | 15 | 0 |
| 日本共産党(7) | 0 | 7 |
| れいわ新選組(5) | 0 | 5 |
| 日本保守党(2) | 2 | 0 |
| 沖縄の風(2) | 0 | 2 |
| チームみらい・無所属の会(2) | 2 | 0 |
| 社会民主党(2) | 0 | 2 |
| 各派に属しない議員(6) | 5 | 0 |
賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計227・反対の合計16は、議長の報告(資料06 #5)と一致します(このページの足し算)。
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 衆議院「衆法 第221回国会 11 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」提出時法律案 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22105011.htm | 公式資料 | 2026-10-25(第49条の改正の字を読んだ) |
| 02 | 衆議院 同法律案の議案審議経過情報 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE28DE.htm | 公式資料 | 2026-10-25(提出 新藤義孝議員ら9人・提出会派 自民・維新・国民民主・参政・受理 6月5日・付託 6月10日 憲法審査会・審査終了 6月18日・本会議 6月19日 可決・参議院 7月24日 可決・公布 7月31日 法律第73号) |
| 03 | 参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221090221011.htm https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0724-v001.htm | 公式資料 | 2026-10-25(付託 6月23日 憲法審査会・審査会の議決 7月22日・会派ごとの票の数) |
| 04 | 国会会議録 衆議院 憲法審査会 2026年6月11日 #2(新藤義孝議員の趣旨説明)・#5・#6(階猛議員と新藤議員)・#14・#15(古川あおい議員と馬場伸幸議員) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104183X00920260611/2 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録 衆議院 憲法審査会 2026年6月18日 #2(畑野君枝議員の討論)・#4・#5(採決)・#7(附帯決議案) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104183X01020260618/7 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 国会会議録 参議院 本会議 2026年7月24日 #2(憲法審査会長の報告)・#5(投票の結果) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X03120260724/2 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 07 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年6月19日 #7(憲法審査会長の報告)・#8・#9(採決) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X02620260619/7 | 会議録 | 2026-10-25 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2026年6月11日 衆議院 憲法審査会(資料04)
新藤義孝 議員(提出者・自由民主党・無所属の会)趣旨説明 #2
[中略]令和四年に、これらの三項目について、国民投票法においても同様の規定の整備を行うよう国民投票法改正案が提出されましたが、令和六年の衆議院解散により廃案となりました。
本法律案は、この令和四年の国民投票法改正案と同一の内容の法案を再提出するものであります。[中略]
階猛 議員(中道改革連合・無所属)#5
[中略]一方、二号のイ、放送CMやネットCMの制限、ロの国民投票運動等の資金規制、ハのネット等の適正利用の確保策については手つかずであって、この法案が成立しても、いわば宿題として残ることになります。[中略]
附則四条二号の三つの事項につき、一体いつまでに必要な法制上の措置その他の措置を講ずるのか、提出者にお尋ねします。
新藤義孝 議員 #6
[中略]国民投票の公平公正の確保に関する施策を講じていく必要性については、憲法審においても議論しております。[中略]私とすれば、できる限り速やかに検討を行って、必要な法制上の措置その他の措置を講ずることが望ましいと考えております。それは憲法審において引き続き議論させていただきたい、このように考えています。
古川あおい 議員(チームみらい)#14
[中略]これらの措置は、公職選挙法において実際にどのような効果をもたらし、その施策としての実効性をどのように評価しておられますでしょうか。[中略]
馬場伸幸 議員(提出者・日本維新の会)#15
[中略]令和八年の衆議院選挙において、東京都の新島村など七つの市、村で、投開票間際の悪天候により投票日当日に分割開票区を新たに設けた旨の告示を確認をしております。[中略]また、令和七年参議院選挙において、青森県の選挙区など幾つかの選挙区でFM放送で政見放送が実施されたものと確認をいたしております。[中略]
2026年6月18日 衆議院 憲法審査会(資料05)
畑野君枝 議員(日本共産党)反対の討論 #2
[中略]議員や首長を選ぶ選挙と改憲の賛否を問う国民投票は、その主体も内容も全く異なるものです。にもかかわらず、直近の公選法改正を国民投票法に取り込み、公選法並びで改正すること自体が問題です。[中略]
國重徹 議員(中道改革連合・無所属)附帯決議案の朗読 #7
[中略]国は、速やかに、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に係る環境を整備するため必要な事項
二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
1 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
2 国民投票運動等の資金に係る規制
3 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年6月5日 | 新藤義孝議員ら9人が衆議院に提出 | 資料02 |
| 2026年6月10日 | 衆議院 憲法審査会に付託 | 資料02 |
| 2026年6月11日 | 衆議院 憲法審査会で趣旨説明・質疑 | 資料04 |
| 2026年6月18日 | 衆議院 憲法審査会で討論・採決・可決(附帯決議あり) | 資料05 |
| 2026年6月19日 | 衆議院 本会議で可決(起立多数) | 資料07 |
| 2026年6月23日 | 参議院 憲法審査会に付託 | 資料03 |
| 2026年7月22日 | 参議院 憲法審査会で可決(附帯決議あり) | 資料03・資料06 #2 |
| 2026年7月24日 | 参議院 本会議で可決(賛成227・反対16)。成立 | 資料03・06 |
| 2026年7月31日 | 公布(法律第73号) | 資料02 |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 投票立会人の第49条の改正の字は、衆議院のページの法律案の本文(資料01)で確かめました(2026年10月25日)
- 3つの項目の中身と施行の日は、提出者の趣旨説明(資料04 #2)の字で確かめました
- 提出・付託・可決・公布の日と、衆議院の会派の欄は、衆議院の議案のページ(資料02)で確かめました
- 参議院の会派ごとの票は、参議院の投票結果のページ(資料03)で確かめ、議長の報告の数(資料06 #5)と合うことを足し算で確かめました
- 国会の字は、すべて国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました
読むときの注意
- 開票立会人とFM放送の条の改正の中身は、趣旨説明の字によります
- 2021年の改正法の附則第4条の中身は、階議員の質疑(資料04 #5)の字によります
