学校教育法の改正 紙が前提の「教科用図書」を、デジタルも含み得る「教科書」に 2027年4月施行 全部がデジタルの教科書は小学4年生以下で認めない考えと局長

テーマ:国会・教育|出来事:2026年4月7日(法律案の提出)〜2026年4月28日(衆議院で可決)〜2026年6月10日(参議院で可決・成立)〜2026年6月17日(公布)〜2027年4月1日(施行)|最終更新:2026年10月31日

教科書がデジタルも含む形に 2027年4月から|小学4年生以下 全部デジタルの教科書は見送る考え(局長)

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。

要点

  1. 小学校などで使わなければならない物を、「教科用図書」から「教科書」に改めました。教科書は、文部科学大臣の検定を経た「教科用の教材」などです。大臣は、紙が前提の「教科用図書」を改め、電磁的記録(デジタル)を含み得るものとして新たに位置づけると説明しました。(資料01・資料04 #138)
  2. 義務教育の学校で使うデジタルを含む教科書も、無償措置の対象になります。法律の題名も「義務教育諸学校の教科書等の無償に関する法律」などに変わります。デジタルの教科書の発行や使用に必要な限度で、音楽や動画を含む著作物を権利者の許諾なく使えるようにする措置も入りました。(資料01・資料04 #138)
  3. 全部がデジタルの教科書をどこまで認めるかは、法律には書かず、大臣の指針で決めます。文部科学省の局長は、現時点で、小学4年生以下では認めるべきでなく、国語・社会・道徳なども当面認めるべきでないと考えていると答えました。(資料07 #60)
  4. 衆議院は2026年4月28日に起立多数、参議院は6月10日に押しボタンの投票で賛成209・反対33で可決し、成立しました。衆議院の反対会派の欄は参政党と日本共産党です。施行は2027年4月1日です。(資料02・03・資料08 #24・資料01)

根拠

法律の中身(法律案の本文)

条中身出典
学校教育法 第34条第1項小学校では「教科書(文部科学大臣の検定を経た教科用の教材又は文部科学省が著作の名義を有する教科用の教材)」を使用しなければならない(改正の前は「教科用図書」)資料01
学校教育法 第34条第2項・第3項削る(改正の前は、教科用図書の内容を記録した電磁的記録の教材を使える、などの規定)資料01
教科書の発行に関する臨時措置法 第2条教科書の供給の方法に、電気通信回線を使った自動公衆送信などを加える。「部数」を「数」に改める資料01
無償に関する2つの法律題名を「教科書等」に改め、無償の対象を教科書と附則第9条の教科用の教材に広げる資料01
附則第1条2027年4月1日から施行(附則第5条は公布の日)資料01

法律案の理由の欄の書き出しは、「情報通信技術の進展に鑑み」です(資料01)。

どんな形の教科書になるか(局長の答弁)

比べ方の注意

会派の賛否(記録にある粒度のまま)

衆議院 本会議 2026年4月28日(起立による採決・起立多数)(資料02・資料06 #27・#28)

賛成会派(記録の字)反対会派(記録の字)
自由民主党・無所属の会; 中道改革連合・無所属; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; チームみらい参政党; 日本共産党

参議院 本会議 2026年6月10日(押しボタンの投票。投票総数242・賛成209・反対33)(資料03)

会派(人数)賛成反対
自由民主党・無所属の会(101)970
立憲民主・無所属(40)400
国民民主党・新緑風会(25)250
公明党(21)210
日本維新の会(19)190
参政党(15)015
日本共産党(7)07
れいわ新選組(5)05
日本保守党(2)02
沖縄の風(2)02
チームみらい・無所属の会(2)20
社会民主党(2)02
各派に属しない議員(6)50

賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計209・反対の合計33は、議長の報告(資料08 #24)と一致します(このページの足し算)。

資料

資料の一覧(8件)
番号資料種類確かめた日
01衆議院「閣法 第221回国会 55 学校教育法等の一部を改正する法律案」提出時法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109055.htm
公式資料2026-10-25(第1条〜第5条の主な所・附則第1条・理由を読んだ)
02衆議院 同法律案の議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE2706.htm
公式資料2026-10-25(受理 4月7日・付託 4月21日 文部科学委員会・審査終了 4月24日 可決・本会議 4月28日 可決・参議院 6月10日 可決・公布 6月17日 法律第37号)
03参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221055.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0610-v001.htm
公式資料2026-10-25
04国会会議録 衆議院 文部科学委員会 2026年4月22日 #138(松本文部科学大臣の趣旨説明)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105124X00720260422/138
会議録2026-10-25
05国会会議録 衆議院 文部科学委員会 2026年4月24日 #173(渡辺藍理議員の反対の討論)・#175・#176(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105124X00820260424/173
会議録2026-10-25
06国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月28日 #26(文部科学委員長の報告)・#27・#28(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01620260428/26
会議録2026-10-25
07国会会議録 参議院 文教科学委員会 2026年6月9日 #59〜#62(吉良よし子議員と局長・大臣)・#70(吉良議員の反対の討論)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115104X00920260609/60
会議録2026-10-25
08国会会議録 参議院 本会議 2026年6月10日 #21(文教科学委員長の報告)・#24(投票の結果)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X02020260610/24
会議録2026-10-25

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2026年4月22日 衆議院 文部科学委員会(趣旨説明)(資料04)

松本洋平 文部科学大臣 #138

小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等において使用しなければならないこととされております教科用図書は、紙媒体が前提とされています。
この法律案は、情報通信技術の進展に鑑み、児童生徒の教育の充実を図るため、紙媒体のみならず電磁的記録を含み得るものとして新たに教科書を位置づけ、その使用を可能とするとともに、発行及び無償措置に関する規定を整備する等の措置を講ずるものであります。[中略]

2026年4月24日 衆議院 文部科学委員会(反対の討論)(資料05)

渡辺藍理 議員(参政党)#173

[中略]文部科学省は、教科書は紙のみ及び紙とデジタルを基本とすると説明しておりますが、制度改正後の三つの形態では、デジタルのみのケースもほかと同列のように記載をされております。デジタルのみも制度上排除されておりません。[中略]

2026年6月9日 参議院 文教科学委員会(資料07)

吉良よし子 議員(日本共産党)#59

[中略]では、ハイブリッドはどうなんですか。ハイブリッドも、小学四年生以下や国語、社会、道徳は認めないということになるわけでしょうか。[中略]

望月禎 文部科学省初等中等教育局長 #60

[中略]全てがデジタルの教科書の扱いにつきましては、今後大臣指針で定めることとしてございますけれども、中教審や有識者会議におきまして、小学校低学年や中学年では慎重に考えるべきという意見が多く出されていることなどを踏まえまして、現時点では、小学校四年生以下では認めるべきではなく、また、教科についても当面、国語や社会、道徳などでは認めるべきではないと考えてございます。
これらの学年や教科におきましても、紙とデジタルを組み合わせたいわゆるハイブリッドな形態の教科書は十分に考えられるところでございまして[中略]

松本洋平 文部科学大臣 #62

今回の制度改正は、デジタル化自体を目的とするものではなくて、デジタルの特性が生きる学習にデジタルを取り入れることによりまして子供たちが学びの質を高めていくことを目的とするものであります。[中略]

参議院の委員会では、参政党の後藤翔太議員と日本共産党の吉良議員が反対の討論をしました(資料08 #21)。

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2026年4月7日内閣が衆議院に提出(受理)資料02
2026年4月21日衆議院 文部科学委員会に付託資料02
2026年4月22日衆議院 文部科学委員会で大臣の趣旨説明資料04
2026年4月24日衆議院 文部科学委員会で質疑・討論・採決。可決(起立多数・附帯決議あり)資料05・資料06 #26
2026年4月28日衆議院 本会議で可決(起立多数)資料06
2026年5月29日参議院 本会議で趣旨説明と質疑。文教科学委員会に付託資料03
2026年6月9日参議院 文教科学委員会で可決(多数・附帯決議あり)資料03・資料08 #21
2026年6月10日参議院 本会議で可決(賛成209・反対33)。成立資料03・08
2026年6月17日公布(法律第37号)資料02
2027年4月1日施行資料01

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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