所信表明の「実質賃金は8か月連続でプラス」 毎月勤労統計で数えると、物価の「総合」で割った実質賃金なら8か月、「持家の帰属家賃を除く総合」で割った実質賃金なら7か月
テーマ:国会・経済|出来事:2026年10月5日(所信表明演説)|最終更新:2026年10月31日
国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。実質賃金の前年同月比は、厚生労働省の毎月勤労統計調査の公表資料(付表)の数です。何か月続いたかは、このページで数えました。
要点
- 高市首相は2026年10月5日の所信表明演説で「賃金の伸びは、物価の伸びを上回っています。実質賃金上昇率は、八か月連続してプラスで推移し、G7の中で最も高い水準にあります」と述べました。どの実質賃金の数かは、演説では言っていません。(資料01)
- 毎月勤労統計の実質賃金には2つあります。厚生労働省は、賃金の購買力を示すために「持家の帰属家賃を除く総合」の消費者物価指数で割ったものと、国際比較のために「総合」の消費者物価指数で割ったものの、2つを出しています。(資料02)
- 演説の日に出ていた最新の数(2026年7月分の確報・9月28日公表)で数えると、「総合」で割った実質賃金は2025年12月から2026年7月まで8か月続けてプラスです。「持家の帰属家賃を除く総合」で割った実質賃金は、2025年12月がマイナス0.1%で、プラスが続いたのは2026年1月から7月までの7か月です(このページの数え)。(資料02)
- 演説の2日後(10月7日)に出た8月分の速報は、どちらもプラスでした。「持家の帰属家賃を除く総合」で1.5%増、「総合」で1.9%増です。(資料03)
根拠
実質賃金(現金給与総額)の前年同月比(事業所規模5人以上)
| 月 | 「持家の帰属家賃を除く総合」で割った実質賃金 | 「総合」で割った実質賃金 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月 | −1.6% | −1.2% | 資料02 |
| 2025年12月 | −0.1% | +0.3% | 資料02 |
| 2026年1月 | +0.7% | +1.0% | 資料02 |
| 2026年2月 | +2.0% | +2.1% | 資料02 |
| 2026年3月 | +1.4% | +1.6% | 資料02 |
| 2026年4月 | +2.0% | +2.2% | 資料02 |
| 2026年5月 | +1.6% | +1.8% | 資料02 |
| 2026年6月 | +2.2% | +2.3% | 資料02 |
| 2026年7月(確報) | +2.0% | +2.1% | 資料02 |
| 2026年8月(速報・演説の後に公表) | +1.5% | +1.9% | 資料03 |
出典:7月分確報の公表資料の付表「前年比、前年差の推移」(資料02)。8月の行は8月分速報(資料03)の概要の数です。
このページの数え
- 「総合」で割った実質賃金:2025年12月(+0.3%)から2026年7月(+2.1%)まで、プラスが8か月。その前の2025年11月は−1.2%
- 「持家の帰属家賃を除く総合」で割った実質賃金:2026年1月(+0.7%)から7月(+2.0%)まで、プラスが7か月。その前の2025年12月は−0.1%
- 8月分の速報まで入れると、それぞれ9か月と8か月になります。ただし8月分の速報は、演説の後の10月7日の公表です
比べ方の注意
- 厚生労働省は、2つの実質賃金の使い分けを、公表資料の注で「賃金の購買力を示すため、実際に取引が行われている財・サービスに限定している消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いて作成し、また、国際比較のため、消費者物価指数(総合)を用いて作成している」と書いています(資料02)
- 演説の同じ文の「G7の中で最も高い水準」は国際比較の話です
- 速報の数は確報で改訂されることがあります(7月分は速報2.4%が確報2.0%に改訂。「持家の帰属家賃を除く総合」で割った実質賃金)
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年10月5日 #23(高市内閣総理大臣の所信表明演説) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122205254X00120261005/23 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 02 | 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果確報」2026年9月28日(PDF 17ページ。1ページの概要と2ページの付表) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2607r/dl/pdf2607r.pdf ページ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2607r/2607r.html | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 03 | 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年8月分結果速報」2026年10月7日(PDF。1ページの概要と2ページの付表) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2608p/dl/pdf2608p.pdf | 公式資料 | 2026-10-25 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2026年10月5日 衆議院 本会議(所信表明演説)(資料01)
高市早苗 内閣総理大臣 #23
[中略]ガソリン、軽油の暫定税率廃止、中東情勢を受けた燃料油補助や電気・ガス料金支援など、切れ目のない物価高対策に取り組んできました。[中略]
こうした政策の効果もあり、物価上昇率は、現在、G7の中で最も低い水準に落ち着いています。
賃金の伸びは、物価の伸びを上回っています。実質賃金上昇率は、八か月連続してプラスで推移し、G7の中で最も高い水準にあります。[中略]
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年9月28日 | 厚生労働省が毎月勤労統計の7月分確報を公表 | 資料02 |
| 2026年10月5日 | 高市首相が所信表明演説で「八か月連続してプラス」と述べた | 資料01 |
| 2026年10月7日 | 厚生労働省が8月分速報を公表(どちらの実質賃金もプラス) | 資料03 |
| この後 | 9月分以降の数が出たら、ここに足します | ― |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 演説の字は、国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました(2026年10月25日)
- 各月の実質賃金の前年同月比は、7月分確報の付表(資料02)の数を読みました。2025年11月・12月の数は、8月分速報の付表(資料03)でも同じ数でした
- 7月分確報の概要の数(「持家の帰属家賃を除く総合」で2.0%増・「総合」で2.1%増)と、付表の最後の行の数が一致することを確かめました
- 何か月続いたかは、このページで数えました
読むときの注意
- 「総合」で割った実質賃金で数えると8か月で、演説の数と合います
