法人の「実質的支配者」を法務局に届け出る法案 議決権の4分の1を超えて持つ人など 上場会社は対象外で、見られるのは行政機関などに限る
テーマ:国会・経済安全保障|出来事:2026年10月5日(所信表明演説)〜2026年10月23日(法律案の提出)〜審議中|最終更新:2026年10月31日
法律案の中身は、内閣官房のページに載っている要綱と概要の字です。首相の演説は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。2026年10月25日の時点で、この法律案を審議した会議の会議録はありません。
要点
- 内閣は2026年10月23日、法人の「実質的支配者」の情報を法人自身に把握させ、法務局に届け出させる法律案を国会に出しました。同じ日に、関係する法律を直す整備法案も出しています。概要は、この法律案を「法人実質的支配者透明化法案」と呼んでいます。(資料01・02・03)
- 実質的支配者は、株式会社など(資本多数決法人)の場合、議決権の総数の4分の1を超える議決権を、直接又は間接に持つ自然人などです。届け出るのは、実質的支配者の氏名・住所・生年月日・国籍などで、設立のときと、変わったときに届け出ます。上場会社と、国・地方公共団体などは対象外です。外国の会社でも、日本で続けて取引している、日本に事務所がある、日本の不動産を持っている、のどれかに当たれば対象になります。(資料02・03)
- 届け出た情報を見られる場合は限られます。行政機関が法令で定める事務のために要る場合と、金融機関や士業など本人確認をする事業者が、届け出た法人の同意を得た場合です。法人と、記録された本人は、自分に関わる記録を見る請求ができます。届出をしないまま期限から3年たつと、登記を閉じる措置をとると概要は説明しています。(資料02・03)
- 土地の規制とも結びつけてあります。概要は、総理大臣の求めに応じて、法務大臣が土地等を持つ法人の実質的支配者の情報を出すと書いています。高市首相は10月5日の所信表明演説で「マネーロンダリングや経済安全保障への対応として、法人の実質的支配者情報の登録制度の導入を図ります」と述べていました。(資料03・04)
根拠
法律案の中身(要綱と概要)
| 項目 | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 目的 | 法人格等と信託の違法な利用の防止、重要土地等調査法などの事務の適正な遂行 | 資料02 1 |
| 対象の法人 | 上場会社、国・地方公共団体などを除く法人。一部の外国会社も | 資料02 2・資料03 |
| 実質的支配者(資本多数決法人) | 議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人など | 資料02 2 |
| 届け出る物 | 氏名・住所・生年月日・国籍など。設立時と変更時 | 資料03 |
| 記録の保存 | 法人の清算結了の登記の時などから7年間 | 資料02 9 |
| 見られる場合 | 行政機関が法令の事務に要る場合/本人確認をする事業者が法人の同意を得た場合。法人と本人は自分の記録 | 資料02 10・資料03 |
| 届け出ないとき | 期限から3年届け出なければ登記閉鎖。罰則を設ける(無届の法人には、まず書面などで催告) | 資料03 |
| 信託 | 受託者が委託者・受益者などの情報を把握・記録・保存。行政機関は提示を求められる | 資料02 17・18・資料03 |
| 施行 | 一部を除き、公布から1年6か月を超えない範囲で政令で定める日 | 資料02 21 |
比べ方の注意
- 概要は背景として、マネーロンダリング対策の国際的な枠組み FATF(金融活動作業部会)の「第5次対日相互審査(2028年夏頃)に向けて対応が必要」、「G7の中で、BO情報の届出を義務付ける制度がないのは日本のみ」と書いています(資料03)。どちらも政府の資料の説明です
- 4分の1を超える、という線は、資本多数決法人の場合の決まりです。それ以外の法人の決め方は、要綱に別の書き方があります
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 参議院 議案のページ「法人等の実質的支配者に係る情報の把握等に関する法律案」(第222回・閣法19) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/222/meisai/m222080222019.htm 整備法案(閣法20)https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/222/meisai/m222080222020.htm | 公式資料 | 2026-10-25(どちらも提出日 2026年10月23日・衆先議。衆参の付託・議決の欄は空) |
| 02 | 内閣官房 同法律案「要綱」(PDF 9ページ) https://www.cas.go.jp/jp/houan/261023/shiryo01.pdf | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 03 | 内閣官房 同法律案「概要」(PDF 1ページ) https://www.cas.go.jp/jp/houan/261023/shiryo00.pdf 一覧のページ https://www.cas.go.jp/jp/houan/222.html | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 04 | 国会会議録 衆議院 本会議 2026年10月5日 #23(高市内閣総理大臣の所信表明演説) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122205254X00120261005/23 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 18時台に、会議の一覧の API で第222回国会を検索。28件。この法律案を審議した会議録は0件 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2026年10月5日 衆議院 本会議(所信表明演説)(資料04)
高市早苗 内閣総理大臣 #23
[中略]安全保障の観点から、防衛関係施設周辺等の区域や国境離島の区域における、土地の所有権の移転等に係る規制を創設するほか、マネーロンダリングや経済安全保障への対応として、法人の実質的支配者情報の登録制度の導入を図ります。[中略]
法律案そのものを審議した会議の会議録は、2026年10月25日の時点でありません(資料05)。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年10月5日 | 高市首相が所信表明演説で、登録制度の導入を図ると述べた | 資料04 |
| 2026年10月23日 | 内閣が法律案と整備法案を国会に提出 | 資料01・03 |
| 2026年10月25日現在 | 衆参の付託・議決の欄は空 | 資料01 |
| この後 | 付託・審議・採決と会派の賛否は、衆参の記録に載ったらここに足します | 資料01 |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 対象の法人・実質的支配者の定義・記録の保存・閲覧・施行の日は、内閣官房の要綱(資料02)で読みました(2026年10月25日)
- 届け出る項目・登記閉鎖・罰則・土地の規制との結びつきは、内閣官房の概要(資料03)の字で確かめました
- 首相の演説の字は、国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました
読むときの注意
- 項目の番号は、要綱の番号によります
- 罰則について、要綱は「所要の規定を設ける」と書いています
- FATF の審査の時期と、G7 の各国の制度は、政府の概要の説明によります
