議員定数の削減法案 1年で結論の法律ができなければ、比例は176人から131人に 2012年の党首討論では「約束しますよ」
テーマ:国会・選挙制度|出来事:2026年6月29日(法案の趣旨説明)〜審議中|最終更新:2026年10月31日
国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。法案の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文で確かめました。
要点
- いまの法案は、すぐに定数を減らす法案ではありません。まず、衆議院議長の下の協議会で、定数削減を含む選挙制度を検討して結論を出し、法律の施行から1年以内に法制上の措置を講じる、と書いています。その措置として作ると明記した法律が、公布から1年たっても成立しないときに、比例代表の定数を176人から131人に減らす仕組みです。総定数は465人から420人になります。(資料01・02)
- 1年たった日に、すぐ比例の定数が変わるわけでもありません。定数を書き換える部分(第3条)が施行されるのは、比例のブロックごとの議員の数を決める別の法律(法案は「改定法」と呼ぶ)が施行される日からです。提出者は、この改定法として、2025年の国勢調査にもとづく区割りの改定の法律を想定していると説明しました。(資料02・03)
- 2012年11月14日の党首討論では、定数削減は「約束」の言葉で語られました。野田総理(当時)は「定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる」ことを約束してほしいと求め、安倍自民党総裁(当時)は「約束しますよ」と答えました。同じ討論で野田総理は「十六日に解散をします」と述べ、11月16日に衆議院は解散しました。このとき成立したのは、小選挙区を300から295にする法律です。(資料05・06・07・08)
根拠
定数の検算(公職選挙法と法律案の本文)
| 区分 | いま(公職選挙法 第4条) | 法案の比例の削減が施行されたあと | 差 |
|---|---|---|---|
| 総定数 | 465人 | 420人 | −45人 |
| 小選挙区 | 289人 | 289人(法案は変えていない) | 0 |
| 比例代表 | 176人 | 131人 | −45人 |
出典:いまの数は資料04(公職選挙法 第4条)。施行後の数は資料02(法律案 第3条「「四百六十五人」を「四百二十人」に、「百七十六人」を「百三十一人」に改める」)。差は、このページの引き算です。比例の176人から45人を減らすと、減り方は約25.6%。総定数から見ると約9.7%です(どちらもこのページの計算)。
法律案の中で、時期を決めている所(資料02)
- 第2条第3項:協議会の結論にもとづく法制上の措置は、「この法律の施行の日から一年以内に講ずるものとする」
- 附則第1項:法律は公布の日から施行。ただし、比例のブロックの数の決め方などの規定は、措置として作ると明記した法律が「成立することなくこの法律の公布の日から起算して一年を経過した日から」。定数を書き換える第3条は、「改定法の施行の日から」
- 附則第3項:新しい定数は、改定法の施行の日以後に初めて公示される総選挙から当てる
比べ方の注意
- 総務省の選挙部長は2026年7月1日の委員会で、OECD 加盟国の下院(一院制は議会)の議員1人当たりの人口を、2025年時点のデータで比べた数を答えています。日本は多い方から3番目で、定数465人・約26万7千人です。1番目はアメリカ(435人・約79万人)、2番目はコロンビア(187人・約28万人)。人口を定数で割った比べ方で、選挙制度や二院の役割の違いは入っていません(資料09)
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 衆議院「衆法 第221回国会 28 衆議院議員の選挙制度改革及び定数削減に関する法律案」議案審議経過情報 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE2D42.htm | 公式資料 | 2026-10-25(提出は自由民主党・無所属の会と日本維新の会。付託は2026年10月5日・政治改革に関する特別委員会。衆議院の審査終了・審議終了の欄は空。第222回国会の議案の一覧では「衆議院で審議中」) |
| 02 | 衆議院 同法律案の本文(提出時法律案) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22105028.htm | 公式資料 | 2026-10-25(第1条〜第3条・附則・理由を読んだ) |
| 03 | 国会会議録 衆議院 政治改革に関する特別委員会 2026年6月29日 #3(加藤勝信議員の趣旨説明) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104575X00920260629/3 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 04 | 公職選挙法 第4条(e-Gov 法令検索。2026年9月3日施行の版) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100 | 法令 | 2026-10-25(法令 API で第4条を取得) |
| 05 | 国会会議録 国家基本政策委員会合同審査会 2012年11月14日 #10・#11・#19・#20(党首討論) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118124293X00120121114/11 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 国会会議録 衆議院 本会議 2012年11月15日 #48〜#50 / 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 2012年11月15日 #49・#131〜#134 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118105254X00520121115/48 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118104577X00220121115/49 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 07 | 国会会議録 参議院 本会議 2012年11月16日 #6〜#8(緊急是正法の採決) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118115254X00320121116/8 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 08 | 国会会議録 衆議院 本会議 2012年11月16日 #26(解散の詔書) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118105254X00620121116/26 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 09 | 国会会議録 衆議院 政治改革に関する特別委員会 2026年7月1日 #11(鹿嶋祐介議員)・#16(総務省 選挙部長) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104575X01120260701/16 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 10 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 17時35分に、会議の一覧の API で期間 2026-10-01〜2026-10-25 を指定して検索。28件。衆議院の本会議は10月5日の1件だけ |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2012年11月14日 国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)(資料05)
野田佳彦 内閣総理大臣(当時)#10
[中略]どうしても定数削減で賛同していただけない、あってはならないことだと思いますが、そういうことがあった場合に、最悪のケースですよ、ここで国民の皆さんの前に約束をしてほしいんです。定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる。それまでの間は議員歳費を削減する。[中略]この御決断をいただくならば、私は今週末の十六日に解散をしてもいいと思っております。ぜひ国民の前に約束してください。
安倍晋三 自由民主党総裁(当時)#11
[中略]私たちは、まずは〇増五減、これは当然やるべきだと思いますよ。そして、来年の通常国会において、私たちは既に、私たちの選挙公約において、定数の削減と選挙制度の改正を行っていく、こう約束をしています。今この場で、そのことをしっかりとやっていく、約束しますよ。
野田佳彦 内閣総理大臣(当時)#19
[中略]後ろにもう区切りをつけて結論を出そう。十六日に解散をします。やりましょう、だから。
安倍晋三 自由民主党総裁(当時)#20
今、総理、十六日に選挙をする、それは約束ですね。約束ですね。よろしいんですね。よろしいんですね。[中略]
2026年6月29日 衆議院 政治改革に関する特別委員会(資料03)
加藤勝信 議員(提出者・自由民主党・無所属の会)趣旨説明 #3
[中略]協議会の結論に基づく法制上の措置として制定することが明記された法律が成立することなく公布後一年が経過した場合に、比例代表選出議員の定数を百七十六人から四十五人削減して百三十一人とすることにより、衆議院議員の定数を四百二十人とすることとしております。
なお、定数削減後の比例代表選出議員の各選挙区、ブロックにおいて選挙すべき議員の数は、別に法律で定めるものとし、別に定める法律として、令和七年の国勢調査の結果に基づく衆議院議員選挙区画定審議会の勧告を受けた区割り改定法を想定しているものであります。
2026年7月1日 衆議院 政治改革に関する特別委員会(資料09)
鹿嶋祐介 議員(自由民主党・無所属の会)#11
[中略]その後、有名な、野田総理と安倍自民党総裁の党首討論を契機に、小選挙区五減のみが成立し、比例四十減は廃案となったことは委員の皆様御存じのとおりだと思います。[中略]
長谷川孝 総務省自治行政局選挙部長 #16
二〇二五年時点のデータを基に、OECD加盟各国につきまして、議員一人当たり人口、二院制の場合には下院議員一人当たりの人口を計算をいたしますと、議員一人当たり人口が最も多い三か国につきましては、一位はアメリカ、こちらは議員定数が四百三十五名、議員一人当たり人口は約七十九万人となっております。二位はコロンビア、こちらは議員定数は百八十七名、議員一人当たり人口は約二十八万人となっております。三位は日本、議員定数は四百六十五名、議員一人当たり人口は約二十六万七千人となっております。[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。2012年の安倍氏の会派の欄には「自由民主党・無所属の会」とあります。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2012年11月14日 | 党首討論。野田総理が定数削減の約束を求め、安倍総裁が「約束しますよ」。野田総理は「十六日に解散をします」 | 資料05 |
| 2012年11月15日 | 衆議院で、小選挙区を300から295にする緊急是正法を可決(総定数は480から475に)。民主党の議員が出した公職選挙法等の改正案も、修正のうえ可決 | 資料06 |
| 2012年11月16日 | 参議院で緊急是正法を可決(投票総数237・賛成212・反対25)。同じ日に衆議院が解散 | 資料07・08 |
| 2026年6月29日 | 自民・維新の定数削減法案の趣旨説明(加藤勝信議員) | 資料03 |
| 2026年7月1日 | 同じ委員会で、総務省の選挙部長が各国の議員1人当たり人口を答弁 | 資料09 |
| 2026年10月5日 | 衆議院で、政治改革に関する特別委員会に付託(議案のページの記録) | 資料01 |
| 2026年10月25日現在 | 衆議院の審査終了・審議終了の欄は空 | 資料01 |
| この後 | 10月7日・8日の本会議の代表質問(定数削減の成立を求める質問と反対の質問、首相の答弁)は、会議録に載ったらここに足します | 資料10 |
訂正の記録
なし
関連する解説動画
本編(22分31秒)
【議員定数の削減】14年前の「約束しますよ」の続きが、いま国会に
https://youtu.be/eGtjmv_aQzY
本編の章:
- 0:36 第1章 14年前の約束
- 1:38 第2章 いまの法案:1年で結論が出なければ比例45減
- 2:46 第3章 約束:自民党「実現に向けた御決意を」と首相の答え①
- 4:14 第4章 迫る:日本維新の会「自由民主党総裁としての高市総理」
- 7:24 第5章 反対:参政党「決して多くありません」と首相の答え③
- 10:10 第6章 反対:チームみらい「議席は窓口」
- 16:32 第7章 賛成の理由:自民党の選対委員長に聞く
- 20:23 第8章 現在地:60日ルールと議席の数
本編の第6章〜第8章には、選挙ドットコムちゃんねるの対談・インタビューを使っています。中で話された見方は出演者のもので、このページの根拠とは別です。
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 法案の中身(協議会での検討・1年以内の措置・1年たっても法律が成立しない場合の比例131人・定数を書き換える第3条の施行が改定法の施行の日からであること)は、衆議院のページの法律案の本文(資料02)で読みました(2026年10月25日)
- いまの定数465人(小選挙区289人・比例176人)は、e-Gov の法令 API で公職選挙法 第4条を取って確かめました(2026年10月25日)
- 国会の字は、すべて国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました(2026年10月25日)。会派の名前も会議録の欄のとおりです
- 2012年の緊急是正法の中身(小選挙区300→295・総定数480→475)は、提出者の細田博之議員の説明(資料06 #49)で確かめました。可決は衆議院(11月15日・起立多数)と参議院(11月16日・賛成212・反対25)の会議録で確かめました
- 法案が審議中であることは、衆議院の議案の一覧と議案のページ(資料01)で確かめました(2026年10月25日)
- 10月7日・8日の本会議の会議録の検索の結果は、資料10 の行の条件のとおりです
読むときの注意
- 「比例四十減は廃案」は、2026年7月1日の鹿嶋議員の説明(資料09)によります
- 法案が付託された日は、議案のページでは2026年10月5日です
- 1人当たり人口の国際比較(資料09)は、総務省の答弁の数です
