ロシアの日本人記者拘束 政府は「申し入れ」と「強く抗議」を説明 首相は「スパイ活動」を問われ「そのような事実はございません」
◷ 書き起こし(会議録は後日)
テーマ:外交・ロシア|出来事:2026年10月13日(ロシア当局の発表)〜10月16日(官房長官会見)|最終更新:2026年10月31日
10月15日の首相の会見の字は、首相官邸のページに載っている書き起こしの字です。10月14日の衆議院予算委員会と官房長官会見は、熱血政治が中継と官邸の映像の音声を書き起こした字です。会議録が載ったら照らし直し、違いがあれば訂正の記録に書きます。
要点
- 政府が説明した最初の対応は、ロシア側への申し入れです。木原官房長官は10月14日朝の会見で、13日に在ロシア大使館からロシア外務省に、14日朝に在ユジノサハリンスク総領事館から現地のロシア外交代表に申し入れたと説明しました。同じ日の衆議院予算委員会で、茂木外務大臣は、情報提供を求め、事実関係を確かめ、「人道的な配慮」と「公正公平な取扱い」を申し入れていると答えました。(資料01・02)
- 10月14日には、外務省が駐日ロシア大使を呼んで抗議しました。木原官房長官は10月15日朝の会見で、中村欧州局長がノズドレフ駐日ロシア大使に、日本政府が何も説明を受けていない中で、ロシア側が邦人を拘束し発信を一方的に行っていることに「強く抗議をしました」と説明しました。(資料03)
- 10月15日の首相の会見で、記者は「反論も抗議もしないのはなぜ」と尋ねました。高市首相は、外務省がロシア当局に申し入れ、面会も求めていると答え、「今は邦人の保護」に注力したいと述べました。続けて「日本政府はロシアでスパイ活動を行っているのでしょうか」と問われ、「そのような事実はございません」と答えました。(資料04)
- 10月16日の時点で、政府は記者と「接触できておりません」と説明しています。木原官房長官は10月16日朝の会見で、現地時間15日に領事通報はあったと述べ、一刻も早く領事面会を実現したいと述べました。(資料05)
根拠
政府の説明(日付の順)
| 日付 | だれが・どこで | 何をしたと説明したか | 出典 |
|---|---|---|---|
| 10月13日 | (在ロシア大使館) | ロシア外務省に申し入れ | 資料01(10月14日の官房長官の説明) |
| 10月14日 朝 | (在ユジノサハリンスク総領事館) | 現地のロシア外交代表に申し入れ | 資料01(同) |
| 10月14日 | 木原官房長官・会見 | 健康状態は「現時点で接触できておりません」。拘束を知ったのは「発表を受けて」 | 資料01 |
| 10月14日 | 茂木外務大臣・衆院予算委 | 大使館と総領事館が、ロシア当局に情報提供を求め、事実関係を確かめ、「人道的な配慮」「公正公平な取扱い」を申し入れている | 資料02 |
| 10月14日 | (外務省 中村欧州局長) | ノズドレフ駐日ロシア大使を外務省に招致し、申し入れと「強く抗議」 | 資料03(10月15日の官房長官の説明) |
| 10月15日 | 高市首相・会見 | 外務省がロシア当局に申し入れ、面会も求めている。スパイ活動については「そのような事実はございません」 | 資料04 |
| 10月16日 | 木原官房長官・会見 | 現地時間15日に領事通報はあった。記者とは「接触できておりません」 | 資料05 |
ロシア側の発表について、国会と会見で言われたこと
- 10月14日の衆院予算委で、茂木外務大臣は、邦人1名がサハリン州で拘束されたという「ロシア連邦保安局によります発表を承知」していると答えました。質問した田中健議員(国民民主党)は、ロシア連邦保安局によると、北海道新聞の特派員が「スパイ容疑」で拘束されたと述べました(資料02)
- 10月15日の首相の会見で、記者は、ロシア側が「一方的に当該記者が日本政府と連携してスパイ活動を行っていたというような発信」をしていると述べています(資料04)
- 「スパイ容疑」は、ロシア側の発表です。
国会で求められたこと(資料02)
- 田中議員は、「正当なこの取材活動を犯罪視することは断じて容認はできません」として、ロシア側に真相究明と拘束根拠の明確化を求め、記者の身体の安全確保と早期の解放に全力を尽くすよう求めました
- 同じ質問の後半で、田中議員は、8月の択捉島訪問などロシアの対日の活動について、「最低でもこのモスクワから在ロシアの大使を引き上げるぐらいの抗議をするだとか」と求めました。この後半は記者の拘束だけの話ではなく、高市首相の答えも択捉島訪問への対応についての答えでした
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 首相官邸 内閣官房長官記者会見 2026年10月14日(水)午前(映像) https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202610/14_a.html | 公式資料(映像) | 2026-10-16(番組が保存したページ。書き起こしは無く「冒頭発言なし」とだけ載っている。字は熱血政治が映像の音声を書き起こした字) |
| 02 | 衆議院インターネット審議中継 2026年10月14日 予算委員会(田中健議員の質問・茂木外務大臣と高市首相の答弁) https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56451&media_type= | 中継 | 2026-10-25(会議の一覧の API で、第222回国会の衆議院予算委員会は10月9日の1件だけが載っていた。字は熱血政治が中継の音声を書き起こした字) |
| 03 | 首相官邸 内閣官房長官記者会見 2026年10月15日(木)午前(映像) https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202610/15_a.html | 公式資料(映像) | 2026-10-16(資料01 と同じ) |
| 04 | 首相官邸「閣僚人事等についての会見」2026年10月15日(書き起こしつき) https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/1015kaiken.html | 公式資料 | 2026-10-25(ページを取り直し、書き起こしの字と照らした) |
| 05 | 首相官邸 内閣官房長官記者会見 2026年10月16日(金)午前(映像) https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202610/16_a.html | 公式資料(映像) | 2026-10-16(番組が保存したページ。書き起こしは閣議の概要だけ。この件の字は熱血政治が映像の音声を書き起こした字) |
| 06 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 18時40分台に、会議の一覧の API で第222回国会を検索。28件で、衆議院予算委員会は10月9日の1件だけ |
国会と会見のやりとり
◷ 書き起こし(会議録は後日・資料01・02・03・05)。熱血政治が書き起こした字で、書き起こし3本を照らして作りました。資料04 は官邸の書き起こしの字です。[中略]の所は、字を省きました。
2026年10月14日 午前 内閣官房長官記者会見(資料01・書き起こし)
記者の質問
今回拘束された邦人の健康状態など、本人と接触は何らか大使館と現時点でできているのか[中略]拘束事案をそもそも政府として把握したのはいつだったのか[中略]
木原稔 内閣官房長官
[中略]健康状態ということでしたが現時点で接触できておりません[中略]人道的な配慮であるとか公正公平な取扱いについては申し入れを行ってきております[中略]13日に在ロシア大使館から[中略]ロシア外務省に対して また14日の朝にはですね 在ユジノサハリンスク総領事館から 現地のロシア外交代表に対して 申し入れを行ったところであります[中略]いつ認識したかですね これは発表を受けて認識をしたところで[中略]
2026年10月14日 衆議院 予算委員会(資料02・書き起こし)
田中健 議員(国民民主党)
[中略]併せてロシア連邦保安局によりますと 北海道新聞の特派員がスパイ容疑で拘束に遭ったということでございます 現時点で政府が把握している現状そして見解 またこの問題について対応についてお聞かせいただければと思います
茂木敏充 外務大臣
[中略]そしてもう一点拘束事案に関してでありますが 現地時間の13日 邦人1名がサハリン州で拘束されたとの ロシア連邦保安局によります発表を承知をいたしております 現在ですね 在ロシア日本大使館及び 在ユジノサハリンスク総領事館がですね ロシア当局に対して速やかな情報提供[中略]情報提供を求めるとともにですね 事実関係を確認するとともに 人道的な配慮 そして公正公平な取扱いについて 申し入れを行っているところであります[中略]邦人保護と これに万全を期してまいりたいと考えております
田中健 議員(国民民主党)
[中略]正当なこの取材活動を 犯罪視することは断じて容認はできませんので 政府におかれては ロシア側に真相究明と 拘束根拠の明確化を強く要求するとともにですね 当該の記者の身体の安全確保[中略]早期のですね、解放に向けて 全力を尽くしていただくことを この場でお願いをさせていただきたいと思います
2026年10月15日 午前 内閣官房長官記者会見(資料03・書き起こし)
木原稔 内閣官房長官
[中略]昨日14日には[中略]ノズドレフ駐日ロシア大使を 外務省に招致をし 中村外務省欧州局長から 改めて同様の申し入れを実施するとともに、日本政府として、何ら説明を受けていない中で、ロシア側が邦人を拘束し、それについての発信を、一方的に行っていることに、強く抗議をしました 残念ながら現時点で、この邦人とは接触できておりませんが まずは一刻も早く 領事面会を実現し[中略]
2026年10月15日 首相会見(資料04・官邸の書き起こし)
記者の質問
[中略]ロシア側は一方的に当該記者が日本政府と連携してスパイ活動を行っていたというような発信を行っています。日本政府はこれに対して反論も抗議もしないのはなぜでしょうか。また、この記者の解放に向けてどのように取り組んでいくか、決意をお聞かせください。
高市早苗 内閣総理大臣
既に官房長官会見でもお答えをしていると思いますけれども、これは、外務省が今一生懸命動いて、ロシア当局に対して申し入れもし、そしてこの面会も含めてですね、求めているという状況でございます。とにかく今は邦人の保護という、とても大事なことでございますので、そこに注力をしたいと考えております。
記者の質問
スパイ容疑に関してはいかがでしょうか。日本政府はロシアでスパイ活動を行っているのでしょうか。
高市早苗 内閣総理大臣
そのような事実はございません。その容疑と向こうがおっしゃることの捉え方、それぞれ国内法も違いますから、その容疑とおっしゃっていることの詳細もまだわかりませんけれども、しかしながら、日本は日本の立場をしっかりと伝えていくということでございます。
2026年10月16日 午前 内閣官房長官記者会見(資料05・書き起こし)
記者の質問
北海道新聞の記者が ロシアで拘束された件について伺います ロシア側から領事通報はありましたでしょうか、またもしあった場合政府の対応を伺います
木原稔 内閣官房長官
[中略]そして現地時間昨日15日に、本件に関する領事通報はあったものの、一方でこの邦人とは接触できておりません まずは一刻も早く、領事面会を実現し、そして本人の健康状態や、事実認識等の確認が できるように、全力で取り組んでいきます 引き続きロシア側には強く働きかけを行いまして 邦人保護には万全を期したいと考えています
書き起こしの字(資料01・02・03・05)には句読点を付けていません。官邸の書き起こしの字(資料04)は、官邸のページのとおりです。記者の社名と名前は、このページでは伏せました。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年10月13日 | ロシア連邦保安局が、サハリン州で邦人1名を拘束したと発表(外務大臣の答弁による)。同じ日に在ロシア大使館からロシア外務省に申し入れ | 資料01・02 |
| 2026年10月14日 | 朝、総領事館から現地のロシア外交代表に申し入れ。官房長官が会見で説明。衆院予算委で外務大臣が答弁。外務省がロシア大使を招致して抗議 | 資料01・02・03 |
| 2026年10月15日 | 官房長官が大使招致と抗議を説明。首相が会見で「そのような事実はございません」。現地時間で領事通報 | 資料03・04・05 |
| 2026年10月16日 | 官房長官が、領事通報はあったと説明し、記者とは「接触できておりません」と述べる | 資料05 |
| この後 | 10月14日の衆院予算委の会議録が載ったら、字を照らし直します | 資料06 |
訂正の記録
なし
関連する解説動画
本編(13分59秒)
ロシアが日本人記者を拘束 首相「そのような事実はございません」4日間の政府の答えを日付順に
https://youtu.be/6p0iAry7bMs
本編の章:
- 0:00 予告と10月13日 ロシア当局の発表
- 0:23 10月14日 朝の会見 記者 日露関係の現状認識は
- 0:45 長官の答え 隣国として意思疎通が必要
- 1:47 10月14日 朝の長官会見 記者 健康状態といつ把握したか
- 2:07 木原官房長官の答え 13日と14日にロシア側へ申し入れ
- 3:05 10月14日 衆院予算委員会 田中議員の問い
- 3:55 茂木外務大臣の答え 北方領土と記者の拘束
- 6:07 田中議員 正当な取材活動の犯罪視は容認できない
- 7:32 高市首相の答え「断じて容認できません」
- 8:28 田中議員 さらに強い抗議を求める
- 9:09 10月15日の会見 記者 解放に向けた働きかけは
- 9:44 長官の答え 14日に外務省がロシア大使へ申し入れ
- 11:19 10月15日 首相会見 記者 なぜ反論も抗議もしないのか
- 11:52 首相の答え 今は邦人の保護に注力
- 12:21 記者 スパイ活動は 首相「そのような事実はございません」
- 12:48 10月16日の会見 領事通報と面会の見通し
- 13:02 長官の答え 一刻も早く領事面会を
- 13:36 その後
本編の題と章の言い方は番組の見せ方です。このページでは、記者の拘束に政府が何をしたと説明したかの論点だけを確かめました。
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 10月15日の首相の会見の字は、2026年10月25日に官邸のページを取り直し、書き起こしの字と照らしました
- 10月14日の衆院予算委の会議録の検索の結果は、資料06 の行の条件のとおりです
読むときの注意
- 10月14日の衆院予算委と、官房長官会見(10月14日・15日・16日)の字は、熱血政治の書き起こし(書き起こしの道具3本を照らした字)です
- このページは、国会と会見で言われた範囲を書きました
- 外務省が大使を招致した日時と、申し入れ・抗議の文面は、官房長官の説明によります
