防衛費の「対GDP比2%」 当初予算の9.9兆円に補正で1.1兆円程度を足して11兆円程度 政府の答弁を数字で並べる
テーマ:防衛・予算|出来事:2025年10月24日(所信表明演説)〜2025年12月16日(補正予算の成立)|最終更新:2026年10月31日
国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。補正予算の額は、財務省の資料と財務大臣の説明で確かめました。足し算と引き算は、このページで計算しました。
要点
- 首相は所信表明演説で、対GDP比2%水準を「補正予算と合わせて、今年度中に前倒しして措置」すると述べました。国家安全保障戦略(2022年12月)に定める水準です。(資料01)
- 政府は、2%水準を「安全保障関連経費」で11兆円程度と答えています。令和7年度の当初予算に計上したのは9.9兆円で、差は1.1兆円程度です。補正予算に入れた結果、当初と合わせて11兆円程度となり、首相は「結果として」2%水準に達したと答弁しました。9.9兆円+1.1兆円=11.0兆円で、計算は合っています。(資料02・03・04・05)
- 補正予算のうち防衛力強化の事業は約8,500億円と、首相が答えています。防衛大臣は、そのうち防衛力整備計画の対象経費は5,021億円で、5年間で43兆円程度の計画の「枠内」と答えました。補正予算の「防衛力と外交力の強化」の柱は1兆6,560億円で、外交・安全保障の環境の変化への対応1兆2,536億円と、米国の関税への対応4,023億円からなります。(資料04・06・07)
根拠
数字の整理
| 数字 | 中身 | 誰の数字か | 出典 |
|---|---|---|---|
| 11兆円程度 | 安全保障関連経費で見た対GDP比2%水準の金額 | 高市総理・小泉防衛大臣の答弁 | 資料02 #8・資料03 #42 |
| 9.9兆円 | 令和7年度当初予算に計上した安全保障関連経費 | 同上 | 資料02 #8・資料03 #42 |
| 1.1兆円程度 | 11兆円程度と9.9兆円の差(防衛大臣は「単純計算では」と前置き) | 防衛大臣の答弁 | 資料03 #42 |
| 約8,500億円 | 補正予算で防衛力強化の事業として計上した額 | 高市総理の答弁 | 資料04 #351 |
| 5,021億円 | 補正予算のうち防衛力整備計画の対象経費 | 小泉防衛大臣の答弁 | 資料06 #281 |
| 43兆円程度 | 防衛力整備計画(2023〜2027年度)の5年間の枠 | 同上 | 資料06 #281 |
| 1兆6,560億円 | 補正予算の柱「防衛力と外交力の強化」 | 財務省の資料・財務大臣の説明 | 資料07・08 |
| 1兆2,536億円 | うち 外交、安全保障環境の変化への対応(防衛力整備、自衛隊員の処遇改善、グローバルサウス諸国との連携強化など) | 財務大臣の説明 | 資料08 |
| 4,023億円 | うち 米国関税への対応 | 財務大臣の説明 | 資料08 |
このページの計算
- 9.9兆円+1.1兆円=11.0兆円。首相の答弁「合計額が十一兆円程度」と合います
- 11兆円−9.9兆円=1.1兆円。防衛大臣の「単純計算ではその差は一・一兆円程度」と合います
- 12,536億円+4,023億円=16,559億円。柱の額16,560億円と1億円ちがいます(財務省のフレームは四捨五入による端数の注がある)
比べ方の注意
- 「安全保障関連経費」は、防衛省の予算(防衛関係費)より広い範囲の経費の呼び方として答弁で使われています
- 野田佳彦議員(立憲民主党・無所属)は代表質問で「本年度の防衛予算は現在八・五兆円」と述べています(資料02 #7)。首相の答弁の9.9兆円とは別の数です
- 約8,500億円(防衛力強化の事業)、5,021億円(整備計画の対象経費)、1兆2,536億円(補正の柱の内訳)、1.1兆円程度(安全保障関連経費の追加)は、それぞれ数える範囲が違う額です。足したり引いたりして比べられる額ではありません
- 11兆円が何年度のGDPの2%にあたるのか(基準にしたGDPの額)は、答弁にありません
資料
| 番号 | 資料 | 種類 | 確かめた日 |
|---|---|---|---|
| 01 | 国会会議録 衆議院 本会議 2025年10月24日 #14(所信表明演説) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905254X00220251024/14 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 02 | 国会会議録 衆議院 本会議 2025年11月4日 #7(野田佳彦議員の代表質問)・#8(高市総理の答弁) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905254X00320251104/8 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 03 | 国会会議録 衆議院 安全保障委員会 2025年11月18日 #41・#42 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121903815X00220251118/42 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 04 | 国会会議録 衆議院 予算委員会 2025年12月9日 #350・#351 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905261X00620251209/351 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 05 | 国会会議録 衆議院 予算委員会 2025年11月11日 #171・#172・#182 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905261X00420251111/172 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 06 | 国会会議録 参議院 予算委員会 2025年12月12日 #280・#281 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121915261X00520251212/281 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 07 | 財務省「令和7年度一般会計補正予算(第1号)フレーム」(PDF) https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2025/hosei251128a.pdf | 公式資料 | 2026-10-25 |
| 08 | 国会会議録 衆議院 予算委員会 2025年12月8日 #4(片山財務大臣の補正予算の説明) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121905261X00520251208/4 | 会議録 | 2026-10-25 |
| 09 | 国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/ | 会議録 | 2026-10-25 に、発言の API で検索。第219回国会・語「安全保障関連経費 十一兆」で7件(首相の本会議・予算委の答弁5件、防衛大臣の答弁1件、参議院本会議の首相の答弁1件)。第219回国会・語「五百六十兆」で0件 |
国会のやりとり
字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。
2025年10月24日 衆議院 本会議(所信表明演説)(資料01)
高市早苗 内閣総理大臣 #14
二〇二二年十二月の国家安全保障戦略をはじめとする三文書の策定以降、新しい戦い方の顕在化など、様々な安全保障環境の変化も見られます。我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要です。このため、国家安全保障戦略に定める対GDP比二%水準について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒しして措置を講じます。また、来年中に三文書を改定することを目指し、検討を開始します。
2025年11月4日 衆議院 本会議(資料02)
高市早苗 内閣総理大臣 #8
[中略]この対GDP比二%水準は、安全保障関連経費の水準を示しており、金額としては十一兆円ほどになりますが、令和七年度当初予算においては九・九兆円を計上しております。[中略]
2025年11月18日 衆議院 安全保障委員会(資料03)
重徳和彦(立憲民主党・無所属)#41
[中略]防衛費に関しましては対GDP比二%水準の前倒し措置ということなんですが、補正予算には幾らぐらいの金額が計上される見込みなんでしょうか。
小泉進次郎 防衛大臣 #42
安全保障関連経費の対GDP比二%水準は、金額としては十一兆円程度であります。その上で、この二%水準に必要となる金額は、令和七年度当初予算においては九・九兆円を計上しており、単純計算ではその差は一・一兆円程度となりますが、いずれにせよ補正予算の具体的な内容については引き続き精査を進めてまいります。
2025年11月11日 衆議院 予算委員会(資料05)
田村智子(日本共産党)#171
[中略]総理、二%前倒し、補正予算で一・一兆円、これは一体どういう分野で幾ら積み増すということなんですか。
高市早苗 内閣総理大臣 #172
[中略]これらが一定の額に達すると見込まれることから、対GDP比二%水準にしても、結果として達成する。プラス一・一兆円、そのとおりでございますけれども、結果として達成する。[中略]
2025年12月9日 衆議院 予算委員会(資料04)
源馬謙太郎(立憲民主党・無所属)#350
[中略]まず、防衛費が今回の補正予算でGDPの二%になったということですが、そもそもなぜこの二%達成を二年前倒しされたのか、総理のお考えを伺いたいと思います。
高市早苗 内閣総理大臣 #351
令和七年度の補正予算では、防衛力強化のための事業として、例えば自衛隊における人的基盤の強化、ドローン対処器材の整備などの自衛隊の活動基盤の強化、自衛隊の装備品の納入の安定化や早期納入の確保、米軍再編の着実な実施といった今年度中に実施すべき緊要性のある事業を積み上げて、約八千五百億円を計上しました。
その上で、これらを含む安全保障関連経費が一・一兆円程度、つまり令和七年度当初予算と合わせた合計額が十一兆円程度となったわけで、これで結果として国家安全保障戦略に定める対GDP比二%水準に達することとなったということです。
2025年12月12日 参議院 予算委員会(資料06)
柴愼一(立憲民主・社民・無所属)#280
[中略]五年間で四十三兆円とした防衛費の全体の枠組みに影響があるのか、四十三兆円が膨らむことになるのかどうか、お聞かせください。
小泉進次郎 防衛大臣 #281
[中略]今回の補正予算で防衛力の整備計画対象経費としては五千二十一億円を計上しておりますが、これは計画に定める四十三兆円程度の枠内でありまして、対GDP比二%水準を前倒しで措置したことをもって四十三兆円程度を超過することはありません。[中略]
会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。
経過
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2025年10月24日 | 所信表明演説で「今年度中に前倒しして措置を講じます」 | 資料01 |
| 2025年11月4日 | 首相が本会議で「十一兆円ほど」「当初予算においては九・九兆円」と答弁 | 資料02 |
| 2025年11月18日 | 防衛大臣が「単純計算ではその差は一・一兆円程度」と答弁 | 資料03 |
| 2025年12月8日 | 補正予算が国会に提出され、財務大臣が「防衛力と外交力の強化」1兆6,560億円を説明 | 資料08 |
| 2025年12月9日 | 首相が予算委で、防衛力強化の事業 約8,500億円と答弁 | 資料04 |
| 2025年12月12日 | 防衛大臣が参院予算委で、整備計画の対象経費5,021億円は43兆円程度の枠内と答弁 | 資料06 |
| 2025年12月16日 | 補正予算が成立 | 補正予算の記事を参照 |
訂正の記録
なし
確かめた所と読むときの注意
確かめた所
- 国会の字は、すべて国会会議録検索システムの API で取った本文と照らしました(2026年10月25日)。会派の名前も会議録の欄のとおりです
- 補正予算の柱の額1兆6,560億円は財務省の PDF(資料07)、その内訳は財務大臣の説明(資料08)で確かめました
- 9.9兆円+1.1兆円、11兆円−9.9兆円、内訳の足し算は、このページで計算しました
読むときの注意
- 2%水準の書き方は、所信表明演説の字によります
