防災庁設置法 内閣に防災庁を置き、長は首相 防災大臣は関係行政機関の長に勧告でき、勧告は「十分に尊重しなければならない」

テーマ:国会・防災|出来事:2026年3月6日(法律案の提出)〜2026年5月19日(衆議院で可決)〜2026年7月13日(参議院で可決・成立)〜2026年7月17日(公布)|最終更新:2026年10月31日

法律の中身は、衆議院のページに載っている法律案の本文の字です。国会の発言は、国会会議録の字です(# は会議録の発言番号)。会派の賛否は、衆議院の議案のページと、参議院の本会議の投票結果のページの記録のとおりです。

要点

  1. 内閣に防災庁を置きます。長は内閣総理大臣で、国務大臣の防災大臣を置きます。任務は、防災に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けることと、防災に関する行政事務の円滑で迅速な遂行です。防災は、災害予防・災害応急対策・災害復旧・災害からの復興をいう、と定義しています。(資料01)
  2. 防災大臣は、特に必要があるとき、関係行政機関の長に勧告できます。勧告を受けた長は「十分に尊重しなければならない」と書いています。首相は、勧告に従わない事態は「想定していません」と答えました。(資料01・資料04 #21)
  3. 原子力防災だけに係る事務は、防災庁の所掌にしません。東日本大震災からの復興に関する事務も、復興庁が廃止されるまでは所掌にしません。参議院の委員会では、れいわ新選組がこの2点などを挙げて反対の討論をしました。(資料01・資料07 #3)
  4. 施行は2026年12月31日までの政令で定める日です。地方機関の防災局は、公布から2年以内の政令で定める日からです。大臣は、本庁の定員を352人と答え、防災局は当面2か所を念頭に検討すると答えています。(資料01・資料06 #34・#36)
  5. 衆議院は2026年5月19日に起立多数、参議院は7月13日に押しボタンの投票で賛成236・反対5で可決し、成立しました。衆議院の議案のページでは反対会派の欄は空です。(資料02・03・資料08 #39)

根拠

法律の中身(法律案の本文)

条中身出典
第2条内閣に、防災庁を置く資料01
第3条任務は、災害対策基本法の基本理念にのっとり、防災に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けること、防災に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ること。防災は「災害予防、災害応急対策、災害復旧及び災害からの復興」資料01
第4条第2項所掌事務の例:防災計画、被災者の応急救助、激甚災害の指定、被災者生活再建支援金の支給、南海トラフ地震・日本海溝・千島海溝の地震・首都直下地震の地震防災対策、防災の技術の研究開発 など18号資料01
第4条第3項原子力防災のみに係るものは、防災庁の所掌事務としない資料01
第6条防災庁の長は、内閣総理大臣資料01
第8条防災大臣を置き、国務大臣を充てる。関係行政機関の長に資料の提出と説明を求められる。特に必要があるときは勧告でき、関係行政機関の長は「当該勧告を十分に尊重しなければならない」。勧告にもとづく措置の報告を求め、首相に内閣法第6条の措置(閣議にかけた方針にもとづく指揮監督)がとられるよう意見を言える資料01
第9条・第10条・第12条副大臣1人・大臣政務官1人・事務次官1人を置く資料01
第14条防災庁に、中央防災会議を置く(長は内閣総理大臣)資料01
第16条地方機関として、防災局を置く。名称・位置・管轄区域などは政令で定める資料01
附則第1条2026年12月31日までの間で政令で定める日から施行。第16条(防災局)は、公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日から資料01
附則第3条復興庁が廃止されるまでの間は、東日本大震災からの復興に関する事務などは防災庁の所掌事務としない資料01

法律案の理由の欄は、「防災に関する施策を円滑かつ迅速に推進するため」防災庁を設置する、です(資料01)。

同じ日に一括で審議・採決された法律案がもう1本あります。「防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」(閣法14)です。災害対策基本法に、復旧と復興を進める本部の設置の規定を足すなどの法律です(資料04 #11・資料05 #3)。

数字(大臣の答弁と討論)

数字中身誰の数字か出典
352人防災庁の本庁の定員牧野大臣の答弁・2026年6月26日資料06 #36
当面2か所防災局の数として念頭に置いて検討している数同上資料06 #34
1か所数十人程度防災局の規模の見込み。2026年度予算には防災局の分は含まれていない同上資料06 #36
約202億円防災庁の初年度の予算天畠議員の反対の討論・2026年7月10日資料07 #3
216人復興庁の今年度末の定員同上資料07 #3

比べ方の注意

会派の賛否(記録にある粒度のまま)

衆議院 本会議 2026年5月19日(起立による採決・起立多数)(資料02・資料05 #4・#5)

賛成会派(記録の字)反対会派(記録の字)
自由民主党・無所属の会; 中道改革連合・無所属; 日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ; 参政党; チームみらい; 日本共産党(空欄)

衆議院の災害対策特別委員会の採決は「起立総員」でした(資料09 #131・#132)。委員長は本会議で「全会一致」と報告しています(資料05 #3)。本会議では整備法(閣法14)と一括で採決し、結果は「起立多数」です(資料05 #5)。

参議院 本会議 2026年7月13日(整備法と一括。押しボタンの投票。投票総数241・賛成236・反対5)(資料03)

会派(人数)賛成反対
自由民主党・無所属の会(101)980
立憲民主・無所属(40)390
国民民主党・新緑風会(25)250
公明党(21)210
日本維新の会(19)190
参政党(15)150
日本共産党(7)70
れいわ新選組(5)05
日本保守党(2)10
沖縄の風(2)20
チームみらい・無所属の会(2)20
社会民主党(2)20
各派に属しない議員(6)50

賛成と反対の合計が会派の人数より少ないのは、投票しなかった議員の分です。賛成の合計236・反対の合計5は、議長の報告(資料08 #39)と一致します(このページの足し算)。

資料

番号資料種類確かめた日
01衆議院「閣法 第221回国会 13 防災庁設置法案」提出時法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109013.htm
公式資料2026-10-25(本則・附則・理由を読んだ)
02衆議院 同法律案の議案審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DE1612.htm
公式資料2026-10-25(受理 3月6日・付託 4月14日 災害対策特別委員会・審査終了 5月14日 可決・本会議 5月19日 可決・参議院 7月13日 可決・公布 7月17日 法律第61号)
03参議院 同法律案の審議経過と本会議の投票結果
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221013.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0713-v001.htm
公式資料2026-10-25
04国会会議録 衆議院 本会議 2026年4月14日 #11(牧野大臣の趣旨説明)・#14・#18・#21(高市内閣総理大臣の答弁)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01220260414/11
会議録2026-10-25
05国会会議録 衆議院 本会議 2026年5月19日 #3(災害対策特別委員長の報告)・#4・#5(採決)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122105254X01920260519/3
会議録2026-10-25
06国会会議録 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 2026年6月26日 #33〜#38(石垣のりこ議員と牧野大臣)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115384X00820260626/36
会議録2026-10-25
07国会会議録 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 2026年7月10日 #3(天畠大輔議員の反対の討論)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115384X00920260710/3
会議録2026-10-25
08国会会議録 参議院 本会議 2026年7月13日 #36(委員長の報告)・#39(投票の結果)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122115254X02820260713/39
会議録2026-10-25
09国会会議録 衆議院 災害対策特別委員会 2026年5月14日 #131〜#137(採決と附帯決議)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/122104339X00920260514/132
会議録2026-10-25
10防災庁設置法の版の一覧(e-Gov の法令 API)
https://laws.e-gov.go.jp/law/508AC0000000061
法令2026-10-25(2026年7月17日の版が施行中。2026年11月2日施行の版と、2028年7月16日施行の版(注記「公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日」)が未施行として載っている)

国会のやりとり

字は国会会議録のとおりです。[中略]の所は、会議録の字を省きました。

2026年4月14日 衆議院 本会議(趣旨説明と質疑)(資料04)

牧野たかお 国務大臣(防災庁設置準備担当)#11

本法律案は、世界有数の災害発生国である我が国において、人命、人権最優先の防災立国を実現すべく、我が国の防災全体を俯瞰的に捉え、徹底した事前防災と、発災時の対応から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔となる防災庁を設置するものであります。

高市早苗 内閣総理大臣 #14

[中略]本法案が成立した暁には、今年中に防災庁を設置し、防災体制の抜本的強化を図ってまいります。

高市早苗 内閣総理大臣 #21(黒田征樹議員(日本維新の会)の質問への答え)

[中略]防災大臣の勧告を受けた各大臣などには、勧告を尊重する法的な義務が課されることから、議員御指摘の勧告に従わないという事態が生じることは想定していません。
防災庁設置により、それぞれ専門性を有する各省庁の役割が変わるものではありませんが、防災庁が一段高い立場の司令塔となり、大臣の勧告権を背景に、各府省庁の個別具体的な施策の進捗状況を把握するとともに、各府省庁の更なる対応を促すために必要が認められればその勧告権を行使し、防災関係の施策を政府一体となって進めていくことができるものと考えております。[中略]

2026年6月26日 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会(資料06)

石垣のりこ 議員(立憲民主・無所属)#33

[中略]防災局は全国に何局程度設置することを想定しているのでしょうか。[中略]

牧野たかお 国務大臣 #34

[中略]法律の公布から二年以内の設置に向けて具体的な検討を行うことにしております。
設置の数や管轄区域を含め、防災局の詳細についてまだ現時点で決まっている内容はございませんが、ただいま申し上げたとおり、当面は二か所を念頭に検討するのではないかと考えております。

牧野たかお 国務大臣 #36

まだ定員規模もこれから詰めていきますけれども、防災庁で今決まっているのはこの防災庁の本省の定員数が三百五十二人ですんで、まずはその数から考えて一か所数十人程度の規模になるんではないかなというふうに思っております[中略]
今の八年度の防災庁関係の予算には、その分の予算は含まれておりません。

大臣は #38 で、#36 の答弁の中の「復興局」を「防災局」に訂正しています(資料06 #38)。上の引用は、その訂正の前の字のままです。

2026年7月10日 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会(反対の討論)(資料07)

天畠大輔 議員(れいわ新選組)#3

[中略]全国四十七都道府県で国難級の災害対応を担うとされる防災庁の定員は三百五十二人です。一方、東日本大震災の被災地域だけに対応する復興庁の今年度末の定員は二百十六人です。[中略]
原子力防災を防災庁から切り離したことや、復興庁を残したことも問題です。[中略]

参議院の委員会の討論は、天畠議員の反対の1人だけでした(資料08 #36)。

会派の名前は、会議録の会派の欄のとおりです。

経過

日付出来事出典
2026年3月6日内閣が衆議院に提出(受理)資料02
2026年4月14日衆議院 本会議で趣旨説明と質疑。災害対策特別委員会に付託資料02・04
2026年4月16日〜5月14日衆議院 災害対策特別委員会で質疑。4月21日に有明の丘地区の防災拠点を視察、4月28日に参考人、5月14日に首相に質疑資料05 #3
2026年5月14日衆議院 災害対策特別委員会で可決(起立総員・附帯決議あり)資料09
2026年5月19日衆議院 本会議で可決(起立多数)資料05
2026年5月22日参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会に付託資料03
2026年7月10日参議院の委員会で可決(多数・附帯決議あり)資料03・資料08 #36
2026年7月13日参議院 本会議で可決(賛成236・反対5)。成立資料03・08
2026年7月17日公布(法律第61号)資料02
2026年11月2日e-Gov の法令は、この日に施行する版を載せている(2026年10月25日の時点で未施行)資料10
この後防災局は公布から2年以内の政令で定める日資料01

訂正の記録

なし

確かめた所と読むときの注意

確かめた所

読むときの注意

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